「ただただ、容赦なく…悲惨な場面が展開する」ケープタウン とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
ただただ、容赦なく…悲惨な場面が展開する
昔実際にあったと聞く(by『マスター・キートン』)凄惨なリンチの場面から物語は始まる…。
原題・原作は『ZULU』。南アフリカ共和国で最大種族。
映画はアパルトヘイトの負の遺産を描き出している。
原作未読。
映画を観ていると、多分小説は今の南アフリカ共和国の抱えている喘ぎをサスペンス絡めながら描き出しているのだろうなと思う。
その壮大な物語を映画化しているからか、映画はちょっと駆け足になっていて、表面的に流れているように見えてしまう。
それでも、役者で見せ切ってくれる。
☆ ☆ ☆
どこに希望を見出したらいいのだろう。
フィクションと割り切りたいのに、現実に行われていたリンチや、南アの今のある一側面と、現実にありそうな狂気がないまぜに描かれていて、フィクションの中に逃げ込めない。
余計に心を重くする。
そんな悲惨な話をこれでもかと容赦なく映像化している。
だから、グロい、グロい。豚肉は生産者を確かめて買いたくなる。
グロさ満載だけれど、原作の場面をきちんと映像化したらグロい場面が続いた映画。グロさのためにグロくしている映画ではない。
サスペンスの形をとっているがサスペンスというのも…。
アパルトヘイトの負の遺産。
と同時に、世界の狂気。
ストーリーは胸が、みぞおちが苦しくなるほど悲しいんだけど、泣けない。場面がグロすぎて。あまりにも重すぎて。
ウィテカー氏。温かな雰囲気の内に、静かに秘めた怒り。見事。
この手の映画を好む方にとっては、
役者の演技を堪能したい人にとっては★5つかな。
ウィテカー氏とブルーム氏の才能に惚れ直してしまう。
テーマも重厚、浸りたい。
けれど、グロい場面が目白押しなので、再鑑賞は躊躇する。
なので、★2.5です。