「複雑な境遇の息子ならではの思春期な反抗、そして苦難を乗り越えての合体に身を震わせろ」ターミネーター:新起動 ジェニシス しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
複雑な境遇の息子ならではの思春期な反抗、そして苦難を乗り越えての合体に身を震わせろ
「本作こそ本当の第三作目の「ターミネーター」だ」
まあ、ジェームズ・キャメロンがそういうのなら、それでも全くどうでもいいんだけど、これ何かあるなあ、と思ってちょっと調べると、2019年にアメリカ著作権法により、35年経過によって、キャメロンに著作権が戻る権利が発生することに行き当たった。
そう、今の権利者は権利を購入した分、今のうちに最大限の効果で「ターミネーター」を売らなければならない。そして、キャメロンにとって、「十分な価値になって戻ってくる」ために本作に加担することは至極当然のこと。
そう、君たちの思惑とは全く違うところで、「ターミネーター」は帰ってきた。そして、当然のようにアーノルドは、自分の持てる力を行使し、帰ってきた。
全く問題ないじゃないか。むしろこれで面白かったら御の字だ。
しかしな、つまらないと思って、観にいってつまらなかったとは、どの口が言うのか。
つまらないと思ったうえで、当たり屋気分で酷評レビューが書きたいがために、見に行ったというのなら、それでもいいさ。しかし、それこそ、キャメロンやシュワ、ネームバリューに騙されてお金を払ったキサマに非があることは誰の目からしても明らかだ。
と、ちょっといつも以上に前置きが長くなった。
「ターミネーター:新起動 ジェニシス」
1)サラ・コナーの二の腕のぷにっぷに感
戦士として育てられたなんて、誰が信じるか知りませんが、かまいません。ぷにぷにでいいです。お願いだからそのままで、鍛えないでください。
2)カイル・リースのワザとらしい過去への出征理由とジョン・コナーとの関係に今更ながらに驚くところ
てめえ、サラとヤル気マンマンで過去に行くくせして、なにかっこつけてやがる。第1作のカイルは、見た目草食、中身肉食。今回のカイルは見た目は肉食だが、現代っ子でおとぼけ感がいい。
3)今度の敵は何をしたいのか
未来で目的達してるんじゃ?と思われるが、とにかく新型はカイルとサラに合体して幸せになってほしくない、というある意味、息子の(あっ、言っちゃった)矛盾に満ちた思春期ならではの、ジェラシーで行動しているようで、なかなか面白い。
「若っけえ、ぷにっぷにのおねえちゃんがオレの母ちゃんかよ!!」
「なんか、おやじ腹立つわ!」
タイムトラベルならではの葛藤ではある。
追記
このシリーズはサラ・コナーの物語だと、今回のラストでもよくわかる。相当変化球だが、サラにとっては「子離れ」の話だ。
カイルは合体して、2日後に殺されるという呪縛から、今回ようやく安心して合体できます!!のキスシーンがもう、溜めにたまったサラとカイルの欲求不満をぶちまけるほどに、ほどに熱く。
T-800も「おじさん」として、祝福してくれるのが、積年のシリーズの紆余曲折を経ての着地と思うと少し泣ける(すまん、言い過ぎ)
権利云々抜きにして、キャメロンが、本作を正統第3作、と言う理由を考えるなら、この「サラ・コナーのハッピーエンド」の着地を評価、ということで納得はできる。
幸せになれよ(by T-800おじさん、= キャメロン)