「日本初、王道Z映画!」Zアイランド 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
日本初、王道Z映画!
「Zアイランド」見ました。
話はそこそこ面白かったです。日本映画もここまで本格的なゾンビ映画を作れるのかと感心した。キャストも良かった。
品川ヒロシ監督の過去作、特に「ドロップ」「サンブンノイチ」で見られた、全然おもしろくないボケとツッコミの応酬もかなり自然な物に見られた。その代わり、被せまくりのボケはやりすぎだと思った。特に哀川翔と鶴見辰吾が土下座をし合う所。全然おもしろくないのにそんな丁寧に見せてくれなくてもいい。過去作との対比で言うと、良かったのは設定。島っていう設定が話の説得力に繋がってるし、キャストが勢ぞろいするのも無理のない流れになっている。サンブンノイチと比べると長足の進歩と言えるのではないか。
アクションシーンは、「300(スリーハンドレッド)」を研究したのでしょう。スローの使い方、音、血飛沫の全てが丸パクリってレベル。見せ方自体は悪くないと思うのですが、せっかくキレのある役者が揃ってるから独自性を見たかったなー。女子高生のアクションは見てて面白かったです。パクリと言えば「ショーンオブザデッド」っぽい描写もありましたね。でもこちらはクスリと笑える作りになってた。あとこれは思い返すとビックリしたんですが、ゾンビに追われる場面が本当に怖く感じるんです。最初に風間俊介が宮川大輔に追われる所とかは特にそう。宮川大輔の走り方とかが面白かったりするけど、スゲー引いた所から見せる見せ方とかが巧いな〜なんて思いました。下半身ぶった斬られたゾンビとかも出してきて、品川監督の本気を感じた。
キャストも、真新しさとタイプキャストを上手く組み合わせていて、楽しめた。例えば、湘南乃風のRED RICEさんや野爆の川島さんなんかのキャスティングは斬新だけど見ていてハラハラするけど、その脇には鶴見辰吾さんや中野英雄さんなどの説得力有る人がしっかり配されてる。特にヤクザ周りは本当に素晴らしい。アウトレイジでも最高だった中野英雄さんに、本物さながらの小沢仁志さん。人情ヤクザを体現した鶴見辰吾と哀川翔。あとは水野絵梨奈さん。ダンサーだけあって体のキレとダイナミズムが秀逸で、この役は彼女以外考えられなかったとも思う。窪塚洋介も相変わらずヘラヘラ演技が似合うし、ジャニーズにここまで言わせるかの風間俊介さんも新境地といった所。他にも素晴らしい役者さんが揃っている印象だ。というか、娯楽作品として万人が馴染みやすいキャスティングだと思うし、素晴らしい。
総じて、なかなかの良作。ラストバトルの纏め方が若干グダグダだったりするけど、品川ヒロシ作品で初めて無心で楽しむことが出来た。恐らく、品川監督は色々なゾンビ映画を勉強したと思うし、自身の過去作からの反省もしっかり取り入れてると思った。
最近の大作的な日本映画、特にアクションやCGを多用する映画は、本当にレベルが上がっていると感じさせる。今作でもそれを感じるし、日本もゾンビ映画を作れるぞという事を示した歴史的な作品。品川監督の挑戦は天晴だ。