「改めて見たらすごくよかった」エージェント・ウルトラ 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
改めて見たらすごくよかった
大好きな『ロング・キス・グッドナイト』みたいな話かと思って見ていたのだがあんまりワクワクせず、見ているうちに眠くなってウトウトしてしまった。
襲ってくるCIAがバカっぽくて嫌だったし、アクションがリアルでかっこよかっただけに話に乗れなくて残念だった。
主人公がボンクラなのは好きなのだが、闘っていても自分がわけがわかってなくて、誰かを守るわけでもなく、話にヒネリが全然なくて深みもなかった。軽い映画なのだろうけど、1月で一番楽しみにしていただけにガッカリした。
『ロング・キス・グッドナイト』の主人公が子供がいる主婦と違って、独身フリーターでは人生の厚みが全然違っており、そこもポイントだったのかもしれない。
(追記)
どうしても気になって眠くない状態でもう一度見て来た。すると、ものすごく面白かった。星3だったのを4に改めました。お話がヒネリが足りないと初見では感じたのだが、充分面白いお話だった。これ以上ひねってもわざとらしくなってしょうがないのではないだろうか。
特にアクションが素晴らしかった。リアルでかっこよかった。警察署で悠然と歩きながらマシンガンを乱射するのは一度でいいからやってみたい。
彼女がエージェントであったことを知った上で見返すと、旅行がダメになって怒っていることなどが矛盾していると思ったのだが、リアルな彼女としての演技だったのだろうか。
CIAのボスの行動も、女性職員に作戦をばらして、彼女が助けた事を咎める意味が分からなかった。そう仕向けたのでないなら、なぜばらしたのだろう。彼女と張り合っていた事務上がりの職員が殺されたのはすっきりした。CIAの職員はエージェントでなくても素手ゴロをしなければならないところが面白かった。
眠かったせいで深みに気づかなかったようで、改めて見たらボンクラとして生きていることに対する不甲斐なさのようなものがひしひしと伝わった。ケミカル・ブラザースの『Snow』という曲は仕事しながらよく聴いていて好きな曲で、ナチュラフボーンキラーズのように警察に取り囲まれながらプロポーズする場面で掛かって感動した。好きな音楽を無邪気に掛けているような感じがいい。
この映画のジェシー・アイゼンバーグはちょっとお猿さんに似ていたので、それで猿の漫画を描いていたのかな。