劇場公開日 2015年11月20日

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「カットニス!!」ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション M.Kotaroさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0カットニス!!

2015年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

主要キャラクターはどんどん死ぬし,結末もけっしてハッピーエンドとは言えないが,それはあくまでも原作に忠実だったがゆえのこと。原作もストーリーが進めば進むほど重苦しい雰囲気が強くなる展開だった。

思い起こせば1作目から随分とテイストが変わったものだ。1作目と4作目を単純に観比べれば,それが同じシリーズの映画とは思えない雰囲気に満ちていることは明らか。1作目は「ゲーム」の残虐性とそこからの脱出劇をが物語の主軸だった。しかしストーリーが進むに連れて「ゲーム」はあくまでも副次的な要素でしかなくなり,最後は「戦争」「革命」が軸になる。

物語の巨大化に伴い,主人公カットニスの立ち位置も大きく変わった。もはや「平凡な一人の少女」であることを周囲が許さない。カットニスは自分の意志に反して「ジャンヌ・ダルク」のような「革命のシンボル」に祭り上げられたことにとことん悩みぬくが,4作目の「〜レボリューション」に至ってようやく自分の気持に決着をつけ,敢然と権力に立ち向かう。

とは言えカットニスは完全無欠のヒロインではないし,圧倒的に強いリーダーでもない。常に権力に翻弄され,自分を見失いかけることもしばしば。悩みが尽きることもない。そんな等身大の姿が観る者の共感を呼ぶのだろう。

おそらく観終わった後のカタルシスはない。何か心の奥にもやもやしたものが残るに違いない。でも,もしかしたらそれは,最後のシーンに描かれるカットニスの心情と同じなのだろう。単純なハッピーエンドはなし。それもまた「ハンガー・ゲーム」っぽくて良い。

たろ☆