ラブ&マーシー 終わらないメロディーのレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
ビーチボーイズは、ビートルズから大きな影響を受けている。映画の中でもそれは語られる。
2つのグリープは、影響をお互い受けていてだろうが、ベクトルはビートルズからビーチボーイズへと向いている。特に、ポール・マッカートニーからの影響は大変に大きい。
65年頃(ビートルズのラバー・ソウル発売後)の音楽制作の場面はまるでルーフ・トップ・コンサート(レット・イット・ビー)の音楽制作風景の様だ。
メリンダに捧げた曲も『レット・イット・ビー』と似た曲だし、65年でのサイケデリックな曲は『トゥモロー・ネバー・ノウズ』や『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』に影響を受けている。同じ時期のサイケデリックミュージックではあるが、リリースされたのは、ビートルズの『リボルバー』『サージェント・ペパーズ』が先てある。かろうじて『ホワイト・アルバム』たけが、ここでの制作風景のアルバムの後になる。
また、この映画はユージン・ランディ医師の手記を元に脚本化されているので、訴訟に発展した事実は無いはずだ。つまり、誇張された形のフィクションの要素が強いと思う。
だがしかし、私は、ガキの頃からビーチボーイズは大好きで、散々聞いてきた。『QUEEN』や『Lettermen』よりもファルセットやコーラスの技術が高くて、好みが渡しの趣向と合致した。
しかし、
88年の『Kokomo』を最後にビーチボーイズは聞かない。
ブライアンの弟さん以外、皆さんお元気に頑張っていらっしゃいます。もう一曲ヒットを作って貰いたいと願っています。オジキも大好きでした。私は普通オジキの影響で好きになるんですが、ビーチボーイズとベンチャーズだけは、自己責任で『自分で好きになった『と言えます。たから、例え、フィクションであっても、この映画には共感します。
『スループ・ジョン・B』はブライアンの親父さんが強く勧める初期のヒット曲てす。しかも、バハマ民謡だったとは!そこまでは知らなかった。
続く愛のメロディー
音楽には疎いが、“ザ・ビーチ・ボーイズ”の名は聞いた事がある。曲名は言えないが、聞けば聞いた事もある。実際、劇中でも。
音楽に疎いので、メンバー名は言えない。
中心メンバーで、楽曲製作を一手に引き受けていたブライアン・ウィルソン。
天才ミュージシャンと言われる傍ら、プレッシャーと苦悩…。そして再起。
全盛期の60年代とスランプ時の80年代を交錯して描く、彼の音楽伝記作。
天才、異端児、時代の寵児…その苦悩は音楽伝記映画のステレオタイプだが、本当にそうなのだ。
クィーンのフレディ・マーキュリーもそうだが、自分の創りたい新しい表現は分かって貰えない。
求められる音楽は似たようなものばかり。
しかも、前以上の大ヒット曲を。
そのプレッシャーたるや。
映画の世界でも、スピルバーグや宮崎駿のプレッシャーは計り知れない。あの黒澤明でさえ自殺未遂したほど。
クリエイターやアーティストが何かを生み出すとは、身を削り魂を費やすものなのだ。
プレッシャーや確執から逃れるように麻薬に溺れ、精神を病み、幻聴が聞こえ、奇怪な行動を取るようになる。
メンバーもレコード会社も実の父親からも怪訝な目で。
華やかだった60年代が終わりを告げる。
そして80年代。
担当医師から妄想型統合失調症と診断。
かつての天才ミュージシャンとは思えず、過去の栄光…。
そんな時出会った一人の女性メリンダ。
瞬く間に互いに恋に落ち、ブライアンにとっては精神的な支えになる。
が、担当医師は2人の関係やメリンダの存在を疎ましく思う。
メリンダは担当医師の診断を不審に思い始める…。
一人の人物を一人の俳優が特殊メイクなどで演じきるのが一般的。
しかし本作のユニークな点は、一人二役。
60年代をポール・ダノ、80年代をジョン・キューザック。
似てる似てないはさておき、両者共好演。
特に、ダノの繊細な内面演技や精神を病んでからの何処か掴み所の無い雰囲気は特筆。
また、メリンダ役のエリザベス・バンクスも素晴らしい。最近は監督やエンタメ作品の助演が多いが、美しく魅力的で演技も確かで、改めていい女優だと思った。
Wikipediaなどでは本作の事はそこまで詳しく触れられておらず、知られざる逸話。
担当医師の診断は誤診。そう思い込ませ、洗脳と言っていい。(ポール・ジアマッティがさすがの憎巧演)
それを救ったメリンダの献身的な愛。
2人は結婚し、子供も授かり、もうザ・ビーチ・ボーイズとしてではないが、ブライアンは今もソロ活動を精力的に続けているという。
それもこれも運命の人との出会いがあって。
ラストシーンは何と幸せに満ち溢れている事か!
2人の愛のメロディーは続く。
よかった
『ペットサウンド』のレコーディング風景が見事に再現されていると感じるほど素晴らしかった。ブライアン・ウィルソンが活き活きとしていて楽しかった。しかし、メンバーやスタッフにクソミソに言われているのが悲しかった。
ジョン・キューザックは心を病んだ役が上手で見事にはまっていた。エンドロールでの実物が楽しそうでよかった。
才能に恵まれていてもつらい人生を送っていて気の毒だった。
今からでも遅くない....
若いブライアンウィルソンのパートは、主にアルバム「ペットサウンズ」の制作過程が描かれています。三年前、病院の待合で読んだ、ロック名盤100みたいなムック本でダントツ1位だったペットサウンズ。恥ずかしながら、その時にはこのアルバムの存在さえ知りませんでした。それからアルバムを聴き、すぐには良さが分からず....何度かトライして最近ようやく、ハーモニーの素晴らしさと曲構成の斬新さについてじんわりと良くなってきた状況です。でも、ラジオで映画評論家の町山智浩さんが推薦してくれなければ、この映画はスルーでした。
ビーチボーイズや音楽関係に興味がなければ楽しめないかもしれません。私的には、また一歩、ペットサウンズの良さを理解する道を進んだ気がします。
天才って生きづらい
リトルミスサンシャインのお兄ちゃん役だったポールダノがジョンキューザックと2人一役で、主演するとのことで観てきました。
ブライアンウィルソンとビーチポーイズについては殆ど無知です。
「ラブアクチュアリー」のエピローグ部分で使用されていた「神のみぞ知る」がとても素敵な歌だなあと思っていた位の知識でした。
映画内で流れていた曲は「神のみぞ知る」以外だと「グッドバイブレーション」にかろうじて聞き覚えがあった位でしたが、
古びてなくて美しいメロディに心つかまれました。改めて聞きたいと思っています。
実在のミュージシャンの伝記映画に類するものの共通点は、主人公がドラッグとアルコールと暴力に依存していることだと私は分析しています。
暴力は振るってしまう/振るわれているという差はありますが。
その多さに「ありきたりな」だとか「またかよ」と思うこともしばしばながら、
フィクションとして作られた要素ではなくて、彼らが選んでしまった過ちなので書かざるを得ないわけです。
なので、よくないものに依存してしまう理由がどう描かれるかが、苦しんだその人の過去に寄り添えるか否かのポイントになります。
(言うまでもないのですが)
で、この映画において、ブライアンがよくないものに依存してしまった理由を、私はどう解釈したかなのですが、
根源は父なのだろうな、というところです。
映画のスタートからすでに60年代のブライアンは幻聴の類が聞こえていた様ですが、その原因は父からの虐待と見るのが、
自然な気がしました。
幼い頃から殴られていて、そのせいでなのか右耳が聞こえなくて、弟たちも父におびえている様子でした。
バンドのマネージャーで強権をふるっていたようですし(後に解雇)、曲にだめだししたり(あの名曲「神のみぞ知る」をけなすなんて!)、
ビーチボーイズの二番煎じバンドで足を引っ張ろうとしたり、ビーチボーイズの曲の権利を勝手に売却したり(そんなの著作者じゃなくてもできたの?)。
父にもその歪みにいたる歴史があるのでしょうが、そこは横へ置いておくとして、
強い呪縛があったのでしょう。
そんな中で、音楽の才能に目覚め、スターダムを駆け上がった上で味わうプレッシャー。
壊れるな、という方が難しいのでしょう。
お決まりのように、ドラッグを覚えたようでした。そして精神も病んでゆくわけです。
ドラッグ描写や酒を飲んで暴れる、というシーンは殆どなく、精神疾患の症状が進行していく様により軸足が置かれた設定でした。
プールのシーンなど、非常に恐ろしさを感じました。
ポールダノがとてもよかったです。
腕を肩の高さで左右に伸ばして、肘を頭の方へ曲げたポーズ(これをうまく説明する言葉が浮かばない!!)で寝そべってるシーンが
いくつかあり、ただならない雰囲気を感じました。
役作りなんでしょうが、ダノのお腹がすごいポニョで、切なくなりました。
80年代のブライアンは、メリンダという女性と出会い惹かれていきましたが、後見人の精神科医・ユージンの監視下にあり、
友人・家族とも引き離されていました。
あの医者、えげつない人でしたね。
メリンダが尽力してなんとかユージンから引き離すことができてよかったですね。
弟カールが協力してくれたっぽいです。
父が勝手に売った曲の版権とか、出てきたものの結末が不明なこともありました。が、それは実際に起きたこと故にフィクションにしづらいこともあるんでしょうね。
関係者でまだ存命の人も多いでしょうし。
ブライアンは天才ですが、不器用で神経質で弱い人だったのだと思います。
いろいろ大変でしたが、今も音楽活動に精力的とのこと、喜ばしい限りです。
ラストで歌ってたラブ&マーシーがよかったです。
FUN×3でも、まだインパクトが
大瀧詠一の曲で初めてビーチボーイズというバンドを知った。
『サーフィンUSA』なんて、ベンチャーズが奏ってるかと思った位だから(恥)
その魅力はなんと言っても『ハーモニー』。あれだけの透き通るような歌声の重なりこそ、西海岸を連想させるに充分過ぎるイメージである。
で、映画だか、そのハーモニーとは裏腹に、ミュージシャンについて回る『ドラッグ』の影が忍び寄る、サイケデリックなスパイスがちりばめられている。
今でもそうかもしれないが、やはり天才ってのはどうしても周りから共感されない故に、その世界に走ってしまうのだろうか・・・
とはいえ、天才が主題の映画はその特異稀なる能力者故、惹き付けられてしまう。内容が陳腐であったとしてもだ。
でも、父親のDV、または主治医からの薬漬け、兄弟を含めたメンバーとの確執、その陰の部分を、もっとインパクト又はデフォルメしてくれると、恋人に救われるべき必然性のコントラストが華やかになると思うのだが・・・
いずれにせよ、ビーチボーイズも又、商業主義、資本主義にスポイルされてしまったミュージシャンだったということが良く理解出来る映画である。
にしても、『天才』ってのは羨ましい・・・
神のみぞ知る
ファンは彼の辛い時期を知ってる訳で、ハッピーな展開じゃないことも分かっている。その辺をどう描くかなという感じで鑑賞。
ブライアン・ウイルソン公認ってことでビーチボーイズの曲はバッチリ。
若きブライアンと中年ブライアンを交互に写しながら彼の個性を浮かび上がらせる構成。天才という言葉で簡単に言いがちだけど、センシティブな内面をポールダノはよく表現してた。ペットサウンズのレコーディングは鳥肌モノの神シーン。マイク・ラブはやはり憎まれ役に描かれてたかなw
頓挫したスマイルを完成させ、再婚して5人も子供がいて、病状もよくなってきた現在だから救いがある。最後に歌う本物ブライアンの姿はそれだけで感動だ。
ファン向けかもしれないけど、今から知る人にはきっかけとなる映画となるでしょう。
猛烈にペットサウンズが聴きたくなる映画でした。
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