「色んな意味での救世主ジョック」チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
色んな意味での救世主ジョック
ネタバレは無いが酷評なので、
本作を気に入っている方は読み飛ばしてくださいな。
たしか、主人公モルデカイ氏がマフィアに連れ去られてから
大富豪役のJ・ゴールドブラムが登場するまでの約20分ほどだったか。
モルデカイ氏がサイドカーで逃げ切ろうと必死になっている間、
それを眺める僕の方は、襲い来る睡魔との闘いに必死だった。
申し訳ない。
眠かった。
もうマジで眠かった。
J・ゴールドブラムが登場してからは目が冴えたものの、
そこから先はモアイ像並みの無表情で画面を眺めていた。
国内/海外での低評価は聞いていたけど……うーむ。
ここまで退屈を感じた要因を挙げるなら、
2時間付き合うのがしんどいキャラクターと、
2時間付き合うのがしんどいギャグだろうか。
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別にJ・デップが嫌いという訳ではない。
彼の演じるキャラは大抵アクが強いが、『パイレーツ・オブ・カリビアン』や
『アリス・イン・ワンダーランド』ではそのアクの強さも適度な尺のおかげで
いい塩梅に作用していたし、他の主演作でも観客をダレさせない適度な
テンションで役を演じていると思う。『エド・ウッド』なんて最高だ。
だが本作は……疲れる。
作り手は主人公チャーリー・モルデカイのキャラを
『ハタ迷惑だがお茶目で可愛げのあるキャラ』
に仕立てようとしたのだろうと思う。だが僕の目には
『子供っぽい言動や無責任ぶりがムカつくキャラ』にしか映らなかった。
それがほぼ全編スクリーンを支配し続ける……ナレーションに至るまで。
最後の最後でようやく自分から仲間を助けようとするが、
それが無かったら僕はトコトンこのキャラを嫌悪していたと思う。
その他、ヒゲ暗殺者やその相棒の女やE・マクレガーも不発。
別に不愉快ではないが印象にも残らない。
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それとコメディ要素。
そもそもこの映画のギャグはどんな層を狙ったものなのか?
子供向けコメディみたいなユルい雰囲気とテンポの中で、
大人向けコメディみたいな下ネタをいきなりブッ込んで来る
このチグハグ感というか気持ち悪さというか不快感というか。
70年代の『007』(それとも観たこと無いけど『ピンクパンサー』
なんだろうか)の雰囲気を誇張したような感じや、
自動車修理工のおじさんの退場の仕方などから鑑みるに、
ハイソかつお下品な英国風コメディを狙ったのかもしれないが、
今思い返しても、クスリとでも笑ったシーンは3、4箇所ほどしか思い出せない。
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良かった点。
ジョック。
「クスリとでも笑ったシーンは3、4箇所ほど」と書いたが、
その3、4箇所はぶっちゃけ全て彼に関連したシーンである。
忠実で仕事もでき、主人のピンチには必ず駆けつける健気なジョック。
主人に振り回されてなぜか無駄玉を喰らいまくるジョック。
彼だけは良かった。むしろ彼だけで映画を作って欲しかった。
あ。あとG・パルトロウは相変わらず美人ね。
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以上。
D・コープの監督作品はあまり観ていないが、
J・デップとの相性が悪いという事だけはよく分かった。
まだ冬の寒さも抜け切らない時期ではございますが、
今年の個人的ワースト5に本作を入れるのは確実。
よほどのJ・デップ(かP・ベタニー)ファンでないと
本作は楽しめない気がするし、そうだとしても
吐気止めの薬を飲んでからの鑑賞を勧める。
<2015.02.28鑑賞>