カップルズのレビュー・感想・評価
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4Kレストアにて大傑作が再登場
少なくとも日本国内では、円盤が生産終了しており、配信もされていない。(「海辺の一日」と「カップルズ」以外はレンタルでどうにかなる。)
※今はユーネクストで「エドワードヤンの恋愛時代」「クーリンチェ少年殺人事件」が再追加されているようだ※
海外版や海外の劇場で観る以外にどう見ているんだろう‥?という感じだったのだが、今回やっとこさ劇場で公開された。(某動画配信プラットフォームNでは同名で丸ごと上がっているので、そこで違法視聴しているのだと思う人もチラホラ。私も軽く調べて出てくるレベルだから相当いそう)
7作しかないエドワードヤンの6作目だけども、「光陰的故事」からテイストは変わらず、台湾の時代的背景と家父長、恋愛(特に悲愛が多いが、後半は混ざってくる)、コメディ暴力が混ぜられる構成となっている。
登場人物を先出しして、観客に人間関係を台詞と雰囲気で察しろと突きつけてきて混乱させる作品も多い監督だけども、今作は非常に丁寧でボーっと観ていても物語を把握できる。
ハイライトはレッドフィッシュの例のシーンだろうか、一気に画面内の緊張感が上がり、固唾を飲むが、これでも事前に配色で警告してくれているのが親切心の塊。
これを観て、最近の映画は説明過多すぎますよねぇ~と感じたところ。
乾いた街をゆく少年たちのハードボイルドストーリー
チーマーという言葉が日本でよく使われたのは80年代だったか。エドワード・ヤンは本作に先立つ2年前に、経済的台頭著しい台北の街を舞台として、日本のトレンディドラマをそのまま移植したかのような空虚な恋愛劇を「恋愛時代」で描いてみせた。本作では「牯嶺街少年殺人事件」の主人公たちが成長し、チームを組んで小悪事を企む姿が描かれる。先行レビューには「外国資本に取り込まれる台湾社会の混迷と混沌を表現した」というものもあったが、いわゆる東アジアの四昇竜のひとつである台湾では独自の資本が形成されつつあった。(終盤、英国人であるマーカスとフランス人であるマルトが「10年後にはこの街は世界の中心になる」と言っている。これはその通りになった)本作が基本的に明るく、閉塞感が感じられないのはそのような発展期にあったからにほかならない。
光があれば闇も生まれる。だから資本拡大の裏にはダークビジネスも形成される。少年たちの志もそこにあった、でもやっていることは如何にも素人臭く、やはりというか、挫折することとなる。
少年たち(彼らだけではなく彼らの周辺の人物も皆そうだが)の自信のなさはショットにも表れている。この作品では、人物のアップがほとんどない。会話のシーンも切り返しがない。常に画面には2人以上の人物が配置され、会話をしている。あたかも麻雀のシーンを固定カメラで撮影しているかのように(原題はここから来ていると思われる)。つまりこれは登場人物それぞれが意思が弱く内面が薄っペラいことを観客に感じ取られないための仕組みである(逆にいえば、薄っペラいことを伝えるためである)
だから、最後のシーンで、ルンルンとマルトが雑踏の中で抱き合うところ、ここだけに切り返しのショットが使われていること。それが真実の愛であることがよく分かる。そしてエドワード・ヤンという人は基本的に詩情溢れる人であり彼が溜めに溜めてこのシーンを撮ったことが伝わり感動するのである。
経済成長を遂げて多国籍街となった首都・台北での4人の青年ギャング団とフランス人女性との邂逅と恋愛、思春期特有の大人たちへの反抗と抗いが丁寧に描かれています。
台湾の巨匠エドワード・ヤン監督の<新台北3部作>の第2作『カップルズ』(1996)が30年の時を経て4Kレストア版にてリバイバル上映中。TOHOシネマズシャンテさんにて鑑賞。
『カップルズ』(1996/121分)
台湾映画といえば『非情城市』(1989)の侯孝賢監督(ホウ・シャオシェン)と本作のエドワード・ヤン監督一連の作品が真っ先に頭に浮かびますね。
作風も香港や韓国映画のような激情がほとばしる作品は少なく、心の機微を丁寧に描くピュアな青春映画が多い印象ですが、本作も経済成長を遂げて多国籍街となった首都・台北での4人の青年ギャング団とフランス人女性との邂逅と恋愛、思春期特有の大人たちへの反抗と抗いが丁寧に描かれています。
雑多で熱量を感じる台北の街並みも良いですね。
本作以降、ウォン・カーウァイ監督作品の常連になった張震(チャン・チェン)の瑞々しい演技も見どころに一つですね。
“外国資本に取り込まれた台湾”というアレゴリーを読み取る事もできるが…
「嗚咽しながら泣きじゃくる台湾の青年たち」と「ストレンジャーとしてのイギリス人男女とフランス人女性」という対比的な構図が鮮明だ。
原題は「麻將(mahjong:麻雀)」である。外国資本によってシャッフルされる台湾社会の混迷・混沌を暗示しているのかもしれない。“外国資本に取り込まれた台湾”というアレゴリーを読み取る事もできるが、だからといって素晴らしい映画だとは思わない。
「エドワード・ヤンの恋愛時代」でもそうであったが、“語り手の視点からの幕間のコメント”みたいのは無粋であると思う。
結局、ショット・色彩・カメラワークのセンスが良い映画作家というだけで実際以上に評価が高いのでは…とも思ってしまう(「牯嶺街少年殺人事件」は別格だが)。
一方で、そのような“外国資本に取り込まれた日本”に意識的な日本映画があるかというと思い当たらないので、やっぱりある程度評価できるのか…ん---微妙…。
不吉をぶっ飛ばすラストシーンに喝采!
ピンク色のベンツ
無理
なんてことない作品なんだけど面白かった。
都市の光と影。
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