「「牯嶺街少年殺人事件」の少年たちが成長して再結集」カップルズ 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)
「牯嶺街少年殺人事件」の少年たちが成長して再結集
約30年前に作られた映画とは思えないほど、本作で描かれる内容やテーマはより現代の社会性とリンクし、作品の鮮度が増しているのではないかと改めて驚かされます。
エドワード・ヤン監督は、欲望を追い求めることに夢中となった先に望んでいた成功や希望があるのか、喜劇と悲劇を表裏一体にし、社会への静かな怒りと共に挑発的に描きます。さらに、この物語の根底に据えられているのは、人々が心と魂を捨てなければ生きていけない街で、“愛は存在できるのか?”ということ。それは現代の都市社会においても普遍的なテーマではないでしょうか。
ヤン監督の傑作「牯嶺街少年殺人事件」(1991)で、主人公の少年たちを演じていたチャン・チェン、クー・ユールン、ワン・チーザンが成長し、青年ギャング団役で再結集していますので、同作を先に見ておくとより深く本作を味わえると思います。
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