「胸がいっぱいになりそうな一本ではありました。」ショート・ターム talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
胸がいっぱいになりそうな一本ではありました。
<映画のことば>
君が生まれる前から私はこの仕事をしている。命がけで子供を守ってきた。傷ついた瞳を見ると、クソ野郎をブチのめしたくなる。そう感じない日は一日もないが、全員の罪を暴くのは無理だ。すべての子を癒すのも、すべての親を訴えるのもね。
児童保護行政がひと筋縄で解決しない問題であることは、彼我の国で違いはなさそうです。
それでもグレイスが父親を刑務所に送ることができたのは、勇気を持って陪審員の前で証言をすることができたからのことと思います。
児童保護機関としては、いくら尽くしても、自らの調査活動だけでは、それを代替することはできない。むしろ、被害児童の率直な証言があって、初めて児童保護機関がその調査活動で収集した証拠が、いわば一本の鎖で繋がって、有効に機能するのだと思います。
「ブチのめしたくなる」とは言いつつも、実際にはブチのめしに行かないので、その所長に代わってジェイデンの父親をブチのめしに行った。
「アタマがおかしいんじゃないの?」と言って止めはしたものの、自分のために、そこまでしようとしてくれたグレイスの姿を見て、頑なだったジェイデンも、やっとこさ心を開くことができたということでしょうか。
そう考えると、胸がいっぱいになりそうな心持ちです。
アメリカでは、彼・彼女たちも短期間の職員(日本流に言えば非常勤)のスタッフで、施設を運営しているのでしょうか。彼・彼女たち自身も児童虐待の経験があったりするようですけれど、多くの施設で、そんな状況なのでしょうか。
そんなことも気になった一本でした。
佳作であったと思います。評論子は。
(追記)
居室にあった、あの犬の張りぼては、あんなふうに使うためにおいてあったのですね。
心の癒しとして、愛玩するために置いてあるのかと思っていました。
別の意味で「可愛がる」ために置いてあったとは知りませんでした。
事実は小説よりも奇なり。
でも、我が家にも一本あると便利かも。(笑)