劇場公開日 2014年11月15日

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「打ち明けて、寄り添い合って、希望と未来を」ショート・ターム 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5打ち明けて、寄り添い合って、希望と未来を

2019年3月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

幸せ

偶然にもブリー・ラーソン主演作を続けて鑑賞。
こちらは『ルーム』でオスカーを受賞する前に注目を集めた2013年の作品。

問題を抱えるティーンエイジャーをケアするグループホーム“ショート・ターム12”。
そこで働くケアマネージャーのヒロインと、彼女を取り巻く同僚、少年少女たちとの人間模様。

心の傷を癒すハートフル作品にも出来るが、非常にシリアス。所々重く、生々しく、痛々しくもある。
精神疾患、自傷行為、DV…少年少女たちが各々抱える問題は、見ていて時に辛くなるほど。
ハリウッド映画でよく描かれるティーンエイジャーはお気楽能天気が多いが、無論全員がそうじゃない。
未来ある彼らをどうか、再出発させたい…。
しかしそれには、辛くもあるが、過去と向き合わせなければならない。
必ず彼らは、辛さをバネにし、乗り越える事が出来る…。
彼らをケアする側のヒロインも実はある問題を抱えている。
同僚の恋人の子を身籠り、中絶を考えている。…と、もう一つ。新しく入ってきた少女に昔の自分を重ね、打ち明ける…。

一人で抱え込んでいたら何も治らない。
話す事、打ち明ける事。
ここにはその問題を白い目で見る輩なんて居やしない。
寧ろ、手を差し伸べ、寄り添ってくれる。
同じ境遇の者が居たら、より親身になってくれる。
もう一人で苦しむ事は無いのだ。

実体験を基にした監督の演出と脚本は、心に傷を持つ者たちの触れ合いを、丁寧に掬い取っている。
ブリー・ラーソンが見事な演技。スーパーヒーロー役もいいが、本作や『ルーム』など、若手実力派と評価される高い演技力を存分に発揮。
キャスト面の注目に、ラミ・マレックの姿が。後の若きオスカー俳優が二人、今見るとお宝発見気分。

開幕シーンとラストシーンは似たようなシーン。
スタッフ同士で他愛ない話をしてると、突然少年が飛び出し、捕まえに走る。
でも、心情はまるで違う。
開幕シーンは大変な職場だと感じるが、ラストシーンは、一人一人と全力で向き合い、問題も乗り越え、希望と未来を感じさせる。

近大