劇場公開日 2016年1月9日

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「“キャラ原案”と“前半”だけで、判断してはいけない作品!」ガラスの花と壊す世界 平田 一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0“キャラ原案”と“前半”だけで、判断してはいけない作品!

2016年1月15日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

難しい

60分の上映時間、ダイジェスト感ある探索シーン(このあたりは『屍者の帝国』も陥ってた難点だった)、決して完璧な出来だったとも、傑作だったとも言い切れなかった…それにデュアルとドロシーに謎の少女・リモの三人。キャラクター原案が『変態王子と笑わない猫』のカントクだから、一見すると”萌えアニメ”で片づけられるかもだったけど、それだけでこの映画を評価し終えてはいけなかった。

それは根っこにしている話がなかなか味わい深かったから。本筋こそキャラやバトルを愛でるような趣で、少女三人の交流を楽しむ風に見えるかもしれない。だけど作品を見続けてくと”滅亡後”という外の世界の重い手がかりが露わになる。つまり同じチームが手掛けたTVアニメ『新世界より』にどこか通じる”果てしなき未来”の形が(映画ファンなら『ターミネーター』シリーズ、『アイ、ロボット』、『攻殻機動隊』を多少知ってると見易いかも)…

ただ本作は過去と現在が幾度も交錯していくから、前述の『変態王子~』タイプのアニメが好きな人が気に入るか…僕には全く分からないし、『新世界~』ほど重くはないから、そっち系が好きな人にも気に入られるかもも分からない。だけど色眼鏡抜きで見れば、単なるプログラムに過ぎなかったはずのドロシー、デュアルが辿る旅、リモがどうして二人の前に現れ”世界”を変えたのか…その二つの”人間ドラマ”にきっと胸を揺さぶられるはず…少なくとも僕自身は最後で胸を揺さぶられた…。

声優さんの話になると、スミレ役の茅野さん!出番は決して多くないけど、前半の”夢に一途な少女”、中盤のデュアルを惑わす”幻影”、後半の”意外な真実”の姿、その三つを特徴消さずに、それでも”違い”を表現し切った演技はもう圧巻だった。主役三人も素晴らしいけど、茅野さんが一番だった。『あの花』『ギルクラ』で飛び出してからどんどん活躍し続けてるし、ファンとしてはすっごく嬉しい。

当然前述したような不満点は勿論あるけど、それでも単体作品としては申し分ない作品かと。こんな〆で大丈夫かな?

平田 一