劇場公開日 2015年11月13日

「難しくて美しい。恐ろしい角度から“生きる意味”を問う異色作。」ハーモニー 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5難しくて美しい。恐ろしい角度から“生きる意味”を問う異色作。

2015年11月21日
PCから投稿

悲しい

怖い

難しい

【賛否両論チェック】
賛:全てが管理され、皆が同じように生きている社会に、疑問を投げかける内容に考えさせられる。主人公の切ない葛藤も印象に残る。
否:話そのものはかなり難しく、聞いていてよく分からない内容も多い。グロシーンも結構あり。

 まず、体内監視システムによって人々の健康が管理されているという、奇想天外ですが決して荒唐無稽ではない設定が、斬新でもあり、どこか恐ろしくもあります。食事を摂る度に、コンタクトレンズにカロリーが瞬時に計算されて出てきたり、踏み台を上がろうとすると“段差注意”の警告が出たり。そういったところはあると嬉しい機能だったりするかも知れません(笑)。一方で全てが監視され、人々が皆、均一的で違いのない世界は、そこに相容れない者にとっては、かえって不気味さを醸し出しているようにも感じます。
 主人公が日本を語る際に、
「優しさでじわじわと絞め殺されるような世界。」
と言ったり、
「まがいもののような世界。」
と言ったりするのも、なんとなく頷けてしまうような気がします。そんな中で、自らの存在意義について自問自答していく主人公の葛藤が、切なくも美しく描かれていきます。
 ただお話そのものは、非常に詩的というか専門的というか、難しい言葉が難しい表現で紡がれていくので、とても難解で理解しにくい内容でもあります。
 人間というものの存在意義やあり方について、じっくりと考え直してみたい人には、オススメかも知れません。

映画コーディネーター・門倉カド