虐殺器官のレビュー・感想・評価
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虐殺に必要なものは…
各地の虐殺の中心にいる一人の言語学者を特殊部隊の主人公が追うという話。
説明セリフがかなり続くがそこまで難解なことを言ってるわけではなく、話の筋は理解できます。ただ、グロテスクなのと併せて18歳は超えていたほうがいいかも。
押井守監督の『イノセンス』に近い感じですかね。
作品の軸の部分に対して無粋かもしれませんが、言語だけで虐殺したくなることがあるのか…?と思ってしまいした。
そこの説得力があまり感じられなかったです。
あとは主人公がルツィアに惚れる描写があまりなかった点、ラストも個人的にはイマイチだったかと。
メッセージ+攻殻機動隊
原作は未読。
「言語」を主題にした作品という意味では、「メッセージ」に近い感じがしたかな。
光学迷彩とかキャラ設定、知的な悪役なんかは「攻殻機動隊」っぽい雰囲気だなーと思った。
基本セリフ劇で、字面を読めば一発で理解できる説明も、音で聴くと(観ている間は分かったような気になるけど)観終わってみると「あれ? 結局どういうこと?」ってちょっと混乱する。
好みはかなり分かれそうだけど、個人的には嫌いじゃない。
ビジュアルを楽しむべき
原作で描かれていた超高度に発達した情報化社会を可視化した点にこのアニメの意義があると思う。残念ながら「虐殺の文法」云々という原作の主題をアニメで表現することには限界がある。その内容があまりに観念的だからだ。登場人物のセリフが説明的になってしまう原因はそこにある。CGを巧みに取り入れた戦闘シーンのカッコよさや、ほとんどFPSと言っていい銃撃シーンの臨場感を楽しむべきだろう。
殺し憎み合う世界と平和な世界は言語で分け能う
タイトル通り人間にはモジュールとして虐殺器官が備わっている、説得力のある虐殺文法という考え方。
恐ろしくなるくらい現実的なSF
テロの恐怖から開放されるために構築された認証世界
サピア=ウォーフの仮説、カフカなど難しい話も。
ノイジーなエンディングがカッコイイ(EGOISTリローデッド)
少年兵が死に人体破壊描写があるのでR指定
説明台詞ばかりで苦行!!
原作者が亡くなっているので仕方ないですが、2017年にもなると偽旗テロやクライシス・アクター等の概念が一般的になり、ISISはアメリカ政府とイスラエル政府で育てたように、テロは政府や国際金融資本の自作自演だと明らかになっているので、ジョン・ポール一個人が行っているというお話はしっくり来ませんでした。虐殺「器官」というアイデア自体は面白いと思いましたが、劇中では「文法」とも言っているので暗示のようなものでしょうか。震災を経たのに自分さえ良ければ良い、今だけ儲かれば良いという世の中になり、増税連発、タックスヘイブン、内部留保、技能実習生、氷河期棄民等数々の問題が毎日尽きませんが、人間には人間を平気で食らう「器官」が元々備わっているのかも知れません。映画自体は説明台詞ばかりできつかったです。
人類皆幸せは難しい
原作未読で拝見。
世界で内紛、虐殺が続く発展途上国にはある人物が関わっているのだが、その人物を確保する為に奔走する大尉の物語。
何故ある人物を確保しなければならないのか?から始まる。
シュールで少し内容が難しいアニメのイメージだが、内容は現実的でいつの時代にも問題視されるテーマであり、軸はしっかりしていて分かりやすい内容だった。
アニメでも再現出来る未来兵器も出てきましたし、見る価値はあります。
面白かったですが、シェパードとポールの間にあった言葉で人を操れるな的「文法」を最後の裁判で有効活用されるのかと思いきや、何も無かったのが残念なので減点。
ただのスパイスだったのかと。。(最初に死んだ同僚が報われん。)
あと、ルツィア(女性)の出番の少なさかな、、、。
生きやすい世の中だからこそ観て考える事が出来る良作アニメでした。
そんなに難しい事を言っているわけではなかったと思うのですが、文字と...
そんなに難しい事を言っているわけではなかったと思うのですが、文字として見るのと、喋っているのとでは理解度が変わってくるのかなと思いました。小説は読んでいないので、詳しくは分かりませんが。
言っている事はなんとな~く、くみ取れた気がするのですが…。
声優さんの声の変化が素晴らしく、入場者特典の小説朗読はずっと聞いていたいと思わせるほどでした。圧巻です。
凡庸な悪
結果として「こんなことはもうたくさんだ」としてそのために憎しみや貧困に覆われた世界を切り離す作業、ある点ではナチス・ドイツ級の括弧付きのモラーリッシュな使命として'虐殺'の文法を埋め込むジョンはハラペーニョピザを注文し、自分の妻や子どもたちに世界の現実など知らなくてもいいとする立場と共犯関係にある。しかし、彼らの生活はその憎しみや貧困の上に成り立っているのであり、おそらくこの世界は不調和に覆われるだろうが解体することはない。
彼は認知する世界のために、多数の世界を犠牲にするのである。
その上でこの映画のラストは原作と映画が逆転しているーと感じた。映画は世界的な希望を残した。シェパードは告発することを選んだのである。ハラペーニョピザを注文しあらゆる搾取のもとに成り立つ世界に「これはぼくの物語だ」と宣戦布告した。その上で原作はもっと個人的な希望であったと感じる。でも前作映画「ハーモニー」と、これでは接続しないのでは?
繊細な眼球の表情
原作は既読です。
映画化をとても楽しみにしていました。
主人公の内面描写やラストに関して、映画は原作と異なりましたが、楽しく見ることが出来ました。
映像として一番印象に残ったのは、人物の造形のリアルさでした。特に、目の表情です。
伏せられた豊かな睫毛、間近で覗く目頭の内側の肉など、目のディテールがとても細かく、それぞれの悲しみや緊迫感が画面からよく伝わりました。細い線を積み上げるように描かれた人々は皆、実写とも違い、ストーリーに合っていたと思います。
そして、自分が楽しみにしていたこと、映画化に際して期待していたのは何かと思ったときに、
自分の想像力、読解力では十分に想像できなかった虐殺器官の世界を詳しく見たいという願望がありました。
海苔と呼ばれる最新機、降下していく棺桶、奈落で踊る若者たち。それらは、映画で叶えられたのではと感じています。
この作品は一時完成を危ぶまれたそうですが、無事公開されて本当に良かったです。
またブルーレイなどになったら見返したいですね。
視聴後、面白くて小説を買った
友人に連れられて行ってきました。
最初あまり興味が湧かなかったものの、見てみたらとても良かった。そしてハマった。初めて伊藤計劃と言う存在を知って小説も買ってみた。然し小説を読んで確かに原作からのファンは納得がいかない部分があるのかなあと思った。だから☆4.5に。けれどあの長さから映画の短さに収められるのは凄いなあと感心した。
個人的に言語学、哲学、それにクラヴィスの人間性と言うか其れがとても好きになった。遠出をした甲斐があったと思う。もし叶うのであれば又見に行きたい作品である。
そんなに精神にはこなかった
虐殺器官やハーモニーは抉られる感じがあったが、今作は現実に迫っている問題として見れたからか、そこまで抉られなかった。だが、「仕事だからという言葉が人を残酷にさせる」というくだりは非常に感心したし、風刺が効いていて、社会人になった今見ることができて良かったという感想に尽きる。これは原作も読んで初めて「作品を鑑賞した」と言える作品ではないだろうか。
殺戮の意味を問う
「殺戮」は「平和」への必須事項なのだろうか。
9.11以降、自国のセキュリティを強化するために、自由を無くしたアメリカ。
平和を手に入れるために、確立した世界ははたして正しいと言えるのか…。
アメリカの平和が保たれる中、後進諸国での戦争が激化していく世界。
戦争を裏で操っている黒幕ジョンポールは、「虐殺文法」を使って、人々の言語から殺戮の力を見出そうとしていた。
全てはアメリカを守るため。
後進国で「虐殺文法」を活用して内戦を引き起こせば、アメリカに憎悪が向かないだろうと考えていたジョンポール。
しかし、犠牲者を出すことでしか平和を作り出せない世の中は、正しいと言えるのか…!
先進国は全てをうやむやにし、今ある安定の生活を維持しようとしているだけだと悟ったジョンポールは、降伏し「虐殺文法」の危険を訴えようとする…。
ハリボテの「平和」。
そのに存在するのは、身勝手な大人達が作り出した偽物の世界のみが広がっている。
自国が幸せであれば、他国どんなに犠牲となっても許されてしまうのか。
虐殺を繰り返すことで手に入れる平和には、悲しみと苦しみしか見えてこない…。
難民受け入れを拒否する、現在のトランプ政権を風刺したような作品に鳥肌が立つ。
映画が延期されたことは、偶然だったのか、必然だったのか。
それを加味するにしても、この作品は今この時期にこそ、公開されるべきものであると感じる。
伊藤計劃への追悼作品としてふさわしい、最終作だった。
死者はもう何も許すことが出来ないのだから
一度足りとも崩れない映像の美しさ。目に大きな穴が突然開いたり、少年兵の頭を射撃ゲームのように爆破するような、どんなに吐き気を催すような場面であっても目を離すことが出来なくなるほど、とにかく映像美は圧巻でした。美しい、という言葉は不適切か。でもノイタミナ系列の映像技術の高さ、本当に凄い。
それでもこの評価なのは、今映画における主人公クラヴィスがあまりにもただのお人形に格下げされたから。
ジョン・ポールの話としては忠実であろうとしたと感じ取れましたが、代わりにクラヴィスの原作における彼の個性らしい個性を全て剥奪。申し訳ないのですが、彼に対しては将来禿げそうな前髪の生え際ばかりを気にしてしまった記憶しかないです。折角の語り部兼主人公なのに。
それを奪うことでジョン・ポールの話に主題を合わせたかったのかなあと無学ながらに納得しようとしたのですが、それにしても蔑ろにし過ぎじゃないのかなあ。視聴者としては彼に感情移入ができなければ置いて行かれてしまう物語だし、何よりルツィアへの執着の説明が(その気が多少原作においてもあるとしても)ジョン・ポールの掌過ぎる。母親の話の一切を削るなら、その辺り力技で進めるにしても感情移入出来るエピソードを他にちゃんと入れて欲しい…。原作通りにしろとは言わないから、別の言葉に響いたって構わないから、感情移入出来る器を作っておいてくれよ頼むから。
原作にある良い台詞も、残念ながらジョン・ポールのもの以外は全然響いてこなかった。感情の流れ、その上で紡がれない言葉に一体何の意味があるのか。地獄はここにあります、頭の中、脳味噌の中に、というアレックスの言葉は、彼の自殺の上に語られねば真意はわからない。これは、尺の関係もあるから仕方ないとは言え…。ぐぬぬ。でもクラヴィスがしっかりしてるなら、アレックスの件は多分流せました。
此処での評価が高いのは、恐らく描きたかったことの軸をぶらさなかったからだと思います。ジョン・ポールの物語としてはきちんと筋が通っていますので、本を読むのが大変で、物語の本質を追いたいのであればいいのでしょうが、原作ファンとして、物語として作品を楽しんだ勢としてはこれらの点で全く納得いかない。
ハーモニーも最後の結末、トァンの感情処理の仕方に不信感ばかりが募ったので、多分Projectの皆さんと原作解釈が合わないんだろうなあ、と正直ガッカリしました。そのハーモニーでも二回観ましたが、今回はもう観ないと思います。
伊藤計劃は自らの死後、誰かに彼の物語を語られることでその人の中に生きたいと願ったと言います。彼の物語を読んだ上で語られる様々な物語があるでしょう。今回もその一つだとは理解しています。けど、この物語を、一つの公式には正直、して欲しくなかったなあ。
個人的には今回の話は、許せません。
伊藤計劃プロジェクトのアニメ映画は3作とも鑑賞しました。それぞれ色...
伊藤計劃プロジェクトのアニメ映画は3作とも鑑賞しました。それぞれ色々と考えされせられるストーリーではあったのですが、一番自分の琴線に触れたのはこの虐殺器官でした。
「我々の世界を守りたい」という言葉にはハッとさせられました。我々の世界を守るため、彼らには彼らの世界に居てもらう、彼らの世界で殺し合ってもらう。身勝手で冷酷な考えですが、私たちも自然とあちらとこちらの世界を隔絶しています。どこかでテロが起きても日本は大丈夫、私の世界は大丈夫、つまり私の世界ではテロは起きていないも同然なのです。確かに人が死んでいても。
人間の倫理観を鋭く突いてくるストーリーでした。
あと個人的な話なのですが、なんとなくアニメではグロテスクな描写も大丈夫でも活字になるとどうも受け付けないので、原作は読めていません。読んだほうがもっと理解できるのだろうなぁとは思うのですが、本屋で3ページほど立ち読みしただけで閉じてしまいました。。。
でも未読の私でも十分楽しめましたし、作画もCGやグロテスクな部分も含めて非常に美しいアニメでした。
奥が深い…!!
とにかく絵が綺麗…!!
内容もすごくしっかりしていて面白い!!
ただ、言葉の言い回しが少し難しいときもあります。笑
文学に対する関心が全く無い人にとっては、少々大変かもしれませんが、ごく僅かなシーンですので!!
アクションシーン等が多いので、全く問題無く楽しめると思っています!!
久しぶりに良作を見たなっていう感想でしたね!!
ずっと前に原作を読んだのに
全くもって内容を忘れていた。むしろそのことに驚いた。伊藤計劃の著作は、テーマが似ているので、ハーモニーの強烈なキャラクター名だけが心に残ってしまうということだろう。サムライチャンプルーが大好きだったので、マングローブが途中放棄したものを見届けれたのは良かったのかもしれない。
他の伊藤計劃作品にも興味が湧きました
今の平和な日本では、戦争や内戦はテレビの中の遠い世界のように感じてしまいがちです。
ジョン・ポールの考えていた事は、先進国にテロを持ち込ませない為、その人達同士で争わせるというすごく残酷なことですが、自分の周りが平和であるなら、人は無関心でいられるかもしれません。
劇中での言葉にもあったように、人は見たくないものは見ないようになっているとは正にその通りだなと感じました。
人工筋肉のくだりは、屠殺場の様子などを撮影した映画「いのちの食べかた」を思い出しました。
本作で初めて伊藤計劃の事を知り、他の作品も本や、映画版も見たいと思います。
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