「徹底管理されたシステム(正義、平和)は絶対的なものなのか…?」劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
徹底管理されたシステム(正義、平和)は絶対的なものなのか…?
アニメ好きだという『踊る大捜査線』の本広克行監督が、念願を実現させ、好評を博したTVアニメシリーズ。
脚本が『まどマギ』の虚淵玄という事もあって、TVシリーズは気になっていた。
この際だからTVシリーズも含め見てみようかなと思ったが、1期2期合わせて30話以上あるようで、ちと今回は…。(1クールだったら見ても良かったんだけど…)
という事でいつもながらミーハー甚だしい、劇場版のみの鑑賞。
まず見る前に、概要や世界観や用語などを軽く予習。
人の精神や性格などが数値化される“シビュラシステム”(俗称“サイコパス”)が導入された近未来の日本。
徹底管理された平和の下、異常数値の者は“潜在犯”として処罰される。
治安維持に奮闘する朱ら公安局刑事課一係の刑事たち。
ただでさえ世界観や用語の把握が小難しいのが近未来SFアニメ。『攻殻機動隊』然り。
しかも虚淵脚本なので結構覚悟して見たのだが、勿論多少の小難しさや難しい言葉遣いはあったものの、思いの外把握出来た。
真っ先に思い浮かんだのはその『攻殻機動隊』だが、同作のような哲学的サイバーSFモノではなく、あくまでシステムやメカニックがハイテク化された近未来社会での刑事モノ。
ここら辺、『踊る大捜査線』の本広監督らしい。
テーマやメッセージ性を打ち出しつつも、虚淵脚本もエンタメに徹している。
この劇場版のメインストーリーは…
内戦続く東南アジア連合=SEAUn(シーアン)にシビュラシステムの導入が決定されたと時を同じくして、日本にSEAUnからテログループが密入国。
その手引きをしたと思われるのが、朱の元同僚・狡噛。
それを確かめるべく、朱は単身SEAUnに赴く…。
朱と狡噛の関係性や経緯は知らない。
が、かつての仲間で何かしらあったという事だけでも抑えていれば、一応話の展開に難は無い。
シビュラシステム導入で内戦の沈静化や平和に一歩近付くと思われたSEAUnの実態…。
軍事独裁政権、国家の陰謀…。
それに抗い、戦う。
反政府活動に身を投じる狡噛。
朱も行動を共にするようになる。
システムや徹底管理された平和や正義は本当に絶対的なものなのか…?
現実社会の世界情勢問題を汲み取ったようなドラマ、ハードなポリティカル・アクション、どちらも見応えアリ。
迫力のアクション描写。実写でのSF/アクション描写はハリウッドや韓国に劣るが、アニメでのSF/アクション描写はさすがジャパニメーションのハイクオリティー。
童顔だが、朱は魅力的でカッコいいヒロイン。
思ってた以上に面白かった。
本当に時間に余裕あれば、TVシリーズから見てみたいと思う。