朽ちた手押し車のレビュー・感想・評価
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だらなこと言うたらアカンがや。
1984年に製作されたものの地味すぎてお蔵入りになってしまい、2013年のお蔵出し映画祭で発掘上映され、グランプリを獲得、2014年に公開された作品。新潟県でも富山県の隣にある漁村で、訛りは富山弁のように聞こえた。海の見える親不知駅が出てくる。
漁師の安田忠雄(田村)、妻のみつ(長山)、認知症が進んでいる源吾(三国)とその妻トミ(初井言榮)、中学生の信子が平穏に暮らしていた。認知症の度合いとしても、どこでも小便したり、海に向かって徘徊したりと、かなり重度。ボロボロになった手押し車を押すトミとは仲良く散歩したりするが、家に帰れば絶えず腹が減ったと飯を食らう状況だ。そんな折、次男の弘(誠直也)が東京から帰ってくる。彼は以前に帰省したときに妻と息子をボートが転覆した事故で亡くしているという辛い過去があった。
てっきり認知症と介護のドラマかと思っていたら、急展開。トミが難病のため倒れ、余命半年の宣告を受けるのだった。治療法の無い難病。痛みを和らげる緩和ケアを続けて、死ぬのを待つしかないという状態だ。ここからは安楽死をテーマとしてストーリーが進む。
家族それぞれの葛藤。なにしろ認知症と安楽死という重いテーマがずしりと響く。核家族でなければどこの家庭にも起こりうる事態だ。描き方が淡々としているため、起伏には乏しいものの、色々考えさせてくれる作品だった。
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