劇場公開日 2014年5月3日

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「ゾンビがサッカーなんざ出来るわけないだろうが。」ゴール・オブ・ザ・デッド Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ゾンビがサッカーなんざ出来るわけないだろうが。

2014年5月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

賛否両論、否が多め。
ということは重々承知の上で。
私は好きです。

前半と後半で監督が異なる異色作。
「後半戦 地獄の感染ドリブル編」が面白かった。

ただ人物紹介や舞台の紹介、事の発端を描くのに徹した前半戦あっての後半戦。
前半戦のサムの言動と周りの反応があるからこそ終盤のサムの行動にグッとくる。

後半戦開始後、唐突に差し込まれる超スロー映像。
車、発砲、そして割れる硝子。
映画「ジャッキー・コーガン」における、あの官能的な場面に“要素”は限りなく似ていますが。
…全く別物。本当に馬鹿馬鹿しさ満点の映像でした。
この馬鹿馬鹿しさのため映像演出に金を出していると思うと、その馬鹿さ加減にもグッときます。

また親父と息子サム、そして若干イイ感じになっている女子リポーターの珍道中。
逆「子連れ狼」。
少しイイ感じになっては、ズドンッ。
次の話に移っては、ズドンッ。
定期的に差し込まれる親父の雑な構えからの的確過ぎるヘッドショット。
その手際の良さがシュールさを煽り好きな場面でした。

それからスタジアム内でのアレコレ。
特にクレオとその友人が互いを確認するアレ。
一瞬あまりの馬鹿馬鹿しさに頭の理解が追いつくのに間が空きましたが。
繰り返される、あの音と動き!
良かったです。

またエンドロールに執拗に繰り返される『その後』映像の悪趣味さも見物です。

本作に対して『ゾンビがサッカーをしない』なんて憤慨されている方がいますが。
常識的に考えて、ゾンビがサッカーなんざ出来るわけないだろうが。

だってゾンビですよ。
攻撃の特殊性と数で人間側を圧倒。
しかも本作では普通の人間並みに機動力もある。
この状況でチームワーク、相手の動きを考慮する思考能力があった場合。
並みの人間では到底太刀打ち出来ません。
問題の打開には更に超越した存在が必要となり話の成立が困難に。

そもそもゾンビと人間がサッカーして何が面白いんだか。
サッカーのルールに沿った動きや複雑な連携プレイを見せるゾンビは最早ゾンビではなく。
仮に試合場面があった場合、それはそれで興醒めだったと思います。

ゾンビは本能のまま人間を襲う喰らう。
人間は生き残るため武器と知略と勢いで立ち向かう。
その争いの中で限りなく畜生に近い本性や人間同士の愛や友情が垣間見える。
ゾンビ映画はそれで良いのでは。

正直121分は長過ぎ、前半戦を半分程度に絞って90分位であれば。
救出対象の或る登場人物がウザ過ぎて苛々する。
…等の不満点は幾つもありますが、全体通して嫌いにはなれない作品でした。

ゾンビが全力疾走し全力で嘔吐する場面に耐性がある方。
オススメです。

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Opportunity Cost