「革命戦士という不思議な罪人」革命の子どもたち 恩田かーやさんの映画レビュー(感想・評価)
革命戦士という不思議な罪人
国と国が起こせば戦争。
国と個人ならテロリスト。
『閉鎖された世界にいる分には
テロリストも正義の味方』でいられる。
そのせいか、
映画ポスターの笑顔の重信さんは『80年代のコミケに機関銃を持って現れたら、たちまちアイドル的な存在になってただろうな~』と思える可愛らしさ!
(普通ぽい所がいいんだよね)
一方ウルリケは、
大写しの彼女の写真を前にアナウンサーが
ニュースを読む画像に 解説が無くても不思議と「この人は死んだんだ……」という事が
伝わってきてしまう。
明暗対照的な二人の革命家。
重信さんに特化して言えば、
彼女は『革命の華』だったのではないか?と思う。
川島芳子(男装の麗人)のように
実はたいした事(実行犯では無いという意味)はやっていないのではないかと……
『赤軍ちゃん』と呼ばれたり、
漫画家、山本直樹さんからのインタビューに
「(赤軍派を題材にした漫画を)もっと明るく描いてよ、実際楽しかったんだから」などと答えてる辺りがいかにもで……
その母親の明るさを受けてか、
娘の重信メイさんは母親の活動を肯定している。
一方ウルリケは過去の脳手術が原因で
情緒不安定からの革命参加ではなかったのか?など、娘さんも「母親はやり方を間違えた」とはっきりと言っている。
第一、ウルリケは獄中で首を吊り、
重信さんは逮捕されても尚、親指を立てて
満面の笑顔。
メイさんはその姿を見て、お母さんの
「私は大丈夫」というメッセージを読み取ったそうだ。
母娘の愛情。
でも洗脳という言葉も思い浮かぶ。
死ねば洗脳からは解除される。
それを受けた娘の冷静な判断。
唐突に『閲覧注意』な場面が出てきたり、ドキュメンタリーならではの事実の羅列に
想像力や探求心を否が応にも掻き立てられる
下世話な好奇心から観に来た人間としては
120%満足とは言い難い。
もっと知りたい!という気持ちがいつまでも残る作品。