イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密のレビュー・感想・評価
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秘密
第二次世界大戦中、政府に召集されたアラン・チューリング率いる数学の精鋭達がドイツ軍の誇る世界最高の暗号「エニグマ」の解読に挑む物語。
予告編を観る限り、この作品は戦時中に活躍した者たちの挫折と栄光を描いた、ありがちな戦争映画であると予想していた。しかし蓋を開けてみれば、それだけではなかった。本作は、言うなれば「名も無き英雄アラン・チューリングの物語」であると、観終わって実感した。
本作最大のキーワードは、「秘密」である。まず、エニグマの解読に成功したというチューリング一行の偉業を描いているが、そもそもこの一大プロジェクトは国家機密とされていたのである。エニグマを解読したことによって幾多の戦争を勝利へと導いたにも関わらず、その偉大な功績は死後何十年もの間、誰にも知られることはなかった。よく「戦争を風化させてはならない」という言葉を耳にするが、こういった偉人の忘れ去られた功績が今なお存在するのはれっきとした事実であり、彼らを讃え、後世に伝えることが戦争を知らない私たちの世代の役目であると、改めて痛感した。
そして本作でさらに「秘密」とされていたのはチューリングが同性愛者であったことである。寄宿学校に通っていた若かりし日のチューリングは周囲から「変人」扱いされ酷いいじめを受けていた。そんな彼を救ったのは、彼の唯一の理解者にして親友であるクリストファーだった。チューリングは彼に触発されて暗号の世界にのめりこんでいき、いつしか恋心を抱くようになる。自分の気持ちを暗号文に託し告白しようとするも、その矢先にクリストファーは結核で帰らぬ人となる。
最愛の友を亡くしたチューリングは、幾度と無く人生に絶望し、「死」を意識したことだろう。しかし、彼は屈することなく、常に「変人」であり続けた。その裏には、かつてクリストファーがチューリングに言った台詞があった。“Sometimes it is the people who no one imagines anything of who do the things that no one can imagine.”(「誰にも思いつかない人物が、誰にも思いつかないことをやってのけたりするんだよ」)この台詞はチューリングが最期を迎えるときまで、彼の生きる糧として、自分に言い聞かせていたことだろう。
余談になるが、私がこのシーンで想起したのは、今年のアカデミー賞で本作が脚色賞を受賞したときのスピーチである。受賞した脚本家のグレアム・ムーアは、16歳のときに自ら命を絶とうとしたと告白した。しかし彼はその苦難を乗り越え、オスカーのステージに立つという夢を叶えたのであった。“Stay weird. Stay different.” 世界中の子どもたちに捧げたこの素晴らしいスピーチは、何千万人もの子どもたちを勇気づけたに違いない。劇中のクリストファーの台詞は、ムーア氏の経験に基づいて、書き上げたのであろう。
戦後、チューリングは同性愛の罪で告発される。彼の功績を世に明かしていれば、罪は免除できたのかもしれない。しかし国家機密であるが故に、彼の偉業は誰にも知られることなく、犯罪者となった。「エニグマの解読」と「同性愛」という二つの「秘密」に生涯悩まされたチューリング。やがて精神を病み、名も無き英雄は自ら命を絶つのであった。
アラン・チューリングなんて名前知りませんでしたが、なるほどこんな事...
痛ましい、美しい映画
第二次世界大戦時に、ドイツ軍の暗号を解読した青年の話。 彼が解読の...
イメージとのギャップ
素晴らしくも悲しい映画
ここ最近で観た中のベスト。
孤独
暗号を解いたときのシーンには興奮した。課題や問題に直面し、必死にあがき続けて、やっと達成できた喜びは物凄いはず。
それなのに、この興奮をなかったことにしなきゃいけないもどかしさもまた計り知れないことなのだろうと思う。
やっぱり人は誰かと何かを共有したい生き物なんじゃないだろうか。
だからこそアランは、誰にも理解されず孤独を感じ、秘密を抱えることでさらなる孤独に苦しみ、孤独からの救いを求め、マシンに没頭し続けたんじゃないかと思う。
功績が報われない悲しさ
人生は『もし』と『嘘』で出来ている
Lifeという雑誌が100周年記念で、一般公募した『Life』というタイトルのコラムのグランプリ受賞作品のタイトルです。
Life is made of 「if」and 「lie」
これを思い出しました。
アラン.チューリングこそこの法則に大きく翻弄された人物と言えるでしょう。
彼は元々コンピューターの世界では大変有名な方でしたが、2009年にこの件で世界をあっと驚かせます。
この新しいイギリスの伝説、この人物を外国人監督に撮らせるという懐の深さが、この映画の品格になっていると思います。
この映画は学生時代の彼の『もし』と『嘘』
エニグマ解読までの彼の『もし』と『嘘』
そして解読後の彼の『もし』と『嘘』
命の選択の『もし』と『嘘』
そして戦争そのものの『もし』と『嘘』
それに翻弄される彼の本当の『人生』の物語になっています。
彼の『もし』と『嘘』にはいつも『切なさ』と『本当』が伴います。
そして、この映画では直接語られなかった行間の部分『何故何十年もこの秘密が護られたのか。何故この秘密を話してしまう人がいなかったのか』
アラン.チューリングも彼の窮地で取引出来たはず。
「それをしなかったのは実にイギリス人らしい」と納得してしまえたのはベネディクト.カンバーバッチの存在があったからこそ。
彼の存在がイギリス人として、また天才数学者アランチューリングとしてのアイデンティティに説得力を生んでいました。
この話は社会、国家、情報、戦争、友情、裏切り、孤独、マイノリティ全てが彼の『もし』と『嘘』の『人生』を通して描かれます。彼の存在に説得力がなければ成り立たなかったでしょう。
もうひとつ、難しいことを難しいまま表現するのは凡人のすること、この映画は難解な用語を使わず解りやすく物語を進めている、そこも特筆すべきところでしょう。
詩情溢れるようなテンポと映像のこの作品が、低予算で切り詰めて創られた映画だなんて、本当にすごい。
ジョンルイスのCMを観ても、この映画を観てもイギリスの映像業界のセンスの良さは侮れないなと思いました。
是非お薦めしたい映画です。
誰も期待しない変わり者こそが、不可能を可能にする
博士と彼女のセオリーのレッドメインよりも良い♡
カンバーバッチの演技が良かったなぁ〜
私としては、博士と彼女のセオリーのレッドメインよりも良かったわ。
天才ゆえのとっつきにくい感じを彼女の助言で、彼なりに努力して上手くやっていこうと行動に出た所とか微笑ましかったです。
今では何てことない同性愛で捕まり、ホルモン治療されて、最後は自殺なんて、すごい才能の持ち主なのに悲しすぎる結末でした。
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