劇場公開日 2015年3月13日

  • 予告編を見る

「誰も想像もしなかった人物が想像できない偉業を成し遂げる」イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0誰も想像もしなかった人物が想像できない偉業を成し遂げる

2015年3月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

タイトルのイミテーションゲームとは、コンピューターが人間並みの思考力をもっているかを判定するテストの事で、チューリングテストともいう。これはこの映画の主人公アラン・チューリングからとっている。
アラン・チューリングは、かなりの変わった人物で、人に好感を持たれようとしないタイプの人間であった。まさに冷酷なコンピューターのような人間でもあった。
また、エニグマというナチスの暗号を解読後もナチスに解読された事実を悟られないよう、解読しても重要な情報以外は秘匿し、人の生き死にを冷酷に制御していた。こうした行いも、まさにアランチューリング自身がコンピューターでもあるかのように意図的に映画では描かれる。タイトル通り、この主人公に対して人間かコンピューターかというイミテーションゲームを観客がしているかのような映画となっている。タイトルの二重構造だ。
後半のアラン・チューリングが当時のくだらない法律のせいで、孤独に悩む姿は英雄のそれではない。英雄がこんな扱いを受けなければならなかった非情を、英国の負の側面としても描いているのは凄く良いと思える。
後半ラストで、計算機につけていた名前クリストファーが子供の頃の友人であったとわかる。彼はコンピューターに人間並みの思考をさせ、亡き友と再び会話をしたかったのかもしれない。そして、自分の気持ちを伝えたかったのかもしれない。そう思うと、ものすごく切ない気持ちにさせられる。

夢見る電気羊