「Oh! シリーさん。シリーさん。」イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
Oh! シリーさん。シリーさん。
第二次世界大戦。
メッサーシュミット、U-ボート。空爆や奇襲攻撃により欧州での勢力を急速に拡大させて行くナチスドイツ。
ナチスドイツの最強暗号通信マシンのエニグマ "Enigma"。
若くして数学科の大学教授になっていたアラン・チューリング(カンバーバッチ)。幼少の頃から出来すぎ君。コミュニケーション障害もあり、変わり者扱いされて、いじめられていたが、同じく優秀ながらも夭逝した唯一の友がいた。その名はクリストファー。
エニグマに対抗するために英国機密情報機関MI-6の中佐によりブレッチリーに召集された人たち。極秘任務。
ドイツの暗号マシンにはマシンで対抗するしかないと主張するアラン。アタマのかたい中佐や曲者揃いの同僚たちが足を引っ張る。ロシアの二重スパイ容疑もかけられる。実際に本当のスパイがいた。ナチスドイツに対するイギリスとソ連の駆け引き。
キーラ・ナイトレイ演じるクラーク。聡明で美しい。男社会で女性が働くためにはまずは嫌われないこととアランを優しく諭す。
パブでクラークが連れてきた暗号記録係のヘレンの発言「ドイツ通信兵の一人に親愛の情が沸いたの。彼だけはいつも同じ5文字で始まる暗号を打ってくるの。CILLY。きっと恋人の名前よ。」
Silly love !
おバカな恋のためにナチスは後退したわけか。
Oh! シリーさん。シリーさん。
お尻さんにはエネマ?
エニグマだよ💢
クリストファーと呼んでいた暗号解読機、チューリング・マシーンはコンピューターの原型。
戦後、同性愛者であることにより逮捕されてしまい、1954年に自殺してしまったアラン・チューリング。41歳だった。
2013年にその功績を称えられて、エリザベス女王から特別死後恩赦が与えられた。それまでは、極秘機密の闇に葬られていたわけだ。
カンバーバッチの蒼白い顔が印象的。
同性愛者であることを告白された時、わかっていたわと言う、キーラ・ナイトレイの厳しい表情がたまりませんでした。ふたりの演技が静かに燃える、味わい深い歴史作品でした。
「あなたが普通じゃないから、世界はこんなにすばらしいって」って言われてみたい。
キーラ・ナイトレイは「つぐない」にも出ていました。愛する男の真実を私は分かっている、と相手に伝える強さと支えがとても似合う女優さんだなと思いました。