「天才に隠された真実」イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 Sisyoさんの映画レビュー(感想・評価)
天才に隠された真実
アカデミー脚本賞に輝いたグレアムムーアは、受賞スピーチでこのようなことを言いました。
「映画の主人公、アラン・チューリングは、このような舞台で表彰されることはありませんでした・・・。でも、私は今ここに立っています。これは不公平ですよね。今日はみなさんに、大切な短いメッセージを伝えたいと思います。
私は16歳の時、自殺未遂をしました。他の人と自分を比べた時に、いつも違っていると感じたし、自分の居場所なんてどこにもありませんでした。
でも私はこうやって、今このステージに立っています。
だからこの映画を、そういう子供たちに捧げたい。自分は変わり者で居場所がないと感じている若者たちへ。君たちには、居場所があります。そのままで良いんです。ぼくがそうだったように、必ず輝ける時がきます。
そして、いつか君がこういったステージに立つ時がきたら、このメッセージを次の人たちにつなげて欲しいと思います。
そして、最後に、Stay Wired and Stay Different(人と違ってたっていい。あなたはあなたのままでいい。)」
受賞時のスピーチ内容が、若者に勇気を与えたと世界中で話題になった。
オスカー像を手にした彼が、観衆の前で初めて明かした自らの過去。
彼は10代の頃からうつ病と闘っているが、母親をはじめとした周りの人の助けがあったからこそ、今があると語る。
映画「イミテーション・ゲーム」の主人公、アラン・チューリングは、第二次世界大戦中に世界最強とされたドイツ軍の暗号システムを解読したイギリスの数学者。
この物語は実話に基づき、彼の生涯を描いたもの。終戦後、チューリングは同性愛の罪で起訴され自殺をし、41歳という若さで人生に幕をおろした。
「私たちは皆、さまざまな理由で「自分は変わっている」と感じています。でも、あなたはあなたのままでいいんです。」
チューリングの悲劇のストーリーが、彼のスピーチの原動力となったそう。
彼は同性愛者ではないが、人と違うという理由でいじめられた彼だからこそ、あなたは、あなたのままでいい、と力強く伝える自分が存在していたのだと感じる。
「Stay Wired and Stay Different」
ありのままの自分がきっと居場所を見つけ、必ず輝ける未来があるのだと。
チューリングの死は本当に早かった。でも彼は、数え切れない人間を救った称えられる人なのは確かだ。
しかし、チューリングが女王の名で正式な恩赦を発効されたのは2013年12月24日のことである。
これは彼の死から約60年後の出来事だ。
でも、彼の死を無駄にしない決意をすることは誰にだってできる。
ありのままに。