「まさに「時代に翻弄された」天才」イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 Chisaさんの映画レビュー(感想・評価)
まさに「時代に翻弄された」天才
10/24鑑賞
第二次世界大戦中、絶対に解読不能と言われていたナチスの暗号「エニグマ」の解読に成功し、その後イギリス政府と秘密裏に連携して戦争の終結を2年も早めたとされる、天才数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)の物語。
同僚役にキーラ・ナイトレイ。
ベネディクト・カンバーバッチはドラマシリーズ「シャーロック」とキャラがダダかぶり笑
でも彼の唯一の理解者であり、心を許していた同僚さえも最終的に跳ね除けてしまったので、シャーロックよりもっと孤独でコミュニケーション能力なくて気難しい人物
カンバーバッチの顔と本当にぴったりで、これ以上の適役はいない!
アランは、まさに「時代に翻弄された」天才だと思った
生まれたのがもう少し遅ければ、あんな悲惨で孤独な最期を迎えずに済んだのに、と思う反面、彼の活躍は戦争中だったからこそのものでもあり、複雑な心境だ
ニキ・ド・サンファル展でも思ったけど、性差別の観点から見れば今は昔より随分ニュートラルになって、まだ完璧じゃないにしても、少数派の人々がより生きやすい世の中になってきている
時代の流れの中で、良い方向に変化してきた物事や考え方も確かにあるのだなぁと感じた
アラン・チューリングという人物については素直にすごいなぁと感銘を受けたし、彼の最期には心が痛くなったけれど、映画としてはラスト以外そこまで印象に残る出来栄えではなかった
自分の好きな映画ランキングの上位にランクインするとか、もう一回観たいと思うとか、そういうほどではなかった
シャーロックは映像や音楽が圧倒的に素晴らしかったり、何よりシャーロックや他の人物(ワトソンやモリアーティなど)のキャラクターが一貫していて徹底的にブレないので、世界観の完成度の高さゆえにけっこう中毒性があって、実際に全話2回ずつ観てまた観たいと思う
一方でこの映画は、冒頭であれだけ気難しかったアランが、中盤以降で仲間たちと打ち解けたり一緒に感極まったり、そういう青春要素があってもいいっちゃいいんだけれど、なんとなくキャラクターがブレているような甘ったるい感じがしてしまったんだと思う
フィクションとノンフィクションの差ということでしょうか