劇場公開日 2015年1月23日

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「絵とは何か」ビッグ・アイズ SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5絵とは何か

2015年1月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

単なる抑圧された女性の開放を謳った話というだけではなく、多くの気づきを促している話で、面白かった。

夫、キーンは名誉欲と金銭欲に支配された邪悪な人間というだけでなく、憎めないところがある。彼は彼のようにしか生きられないのだろうな、という憐憫もあるけど、結局彼は決して自分がなれないであろう、芸術家というものに強くあこがれていた。

妻、マーガレットは純粋で真面目な芸術家というだけでなく、神秘思想や新興宗教にはまるという愚かな面も見せる。

夫と妻はそれぞれ異なる人間の弱さを持っていて、ある時期においてはお互いの強みを補完し合うよい関係だったともいえる。ほんの少し夫が妻を思いやれば、よい夫婦だったんだろう。

単なる対立ではなく、共依存的な関係が複雑に混ざる、このような対立は、現実的でリアリティがある。

絵の価値とは何か、ということについても考えさせる。妻だけでも、夫だけでも、ビッグアイズは世に出なかった。

絵の価値は、それそのものによって決まるのではない。バブルの頃の土地のような正体のないもの。だから、話題作りや、著名人の評価や、絵の背景にある物語が必要となる。それを夫はよく理解していた。

また、大衆が求めたのは、絵そのものではなく、流行りの絵を所有するという満足感だけだ、というのも面白い。

結局、絵というのはそれが生み出された文脈を切り離して評価することなど不可能ってことなんだけど、最近の日本で起きた作曲ゴーストライターの件ともつながるなあ、と思った。

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SP_Hitoshi