「いつもとは一味違うハードボイルド・ステイサム」ハミングバード スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
いつもとは一味違うハードボイルド・ステイサム
ド派手なアクションを繰り広げる肉体派ジェイソン・ステイサム映画もいいですが、こんな男臭い哀愁漂わせるハードボイルド・ステイサム映画も悪くないものですね。
まあどうしてもジェイソンにはアクションを期待せずにはいられませんから、どこか物足りない気持ちは無きにしも非ずでしたが、ストーリー構成は何とも味わい深いものがあって個人的には好みの内容でしたから、地味ながら面白かったしグッと来るものもあった映画でしたよ。
しかし序盤のショボくれたジェイソンの風貌にはビックリでした!
ホームレス生活をして逃げ隠れしていたジェイソン演じる脱走兵ジョセフの禿げた汚らしいロン毛姿が、あまりにもリアルすぎて最初はジェイソンだと気付きませんでした(笑)
ロン毛を剃って普通のジェイソンに戻ったらカッコ良かったですから、薄毛になったらとりあえず坊主にした方が、人生楽しく生きていけることだけはよ~く分かりました。
そんなホームレス・ジェイソンの復讐劇、としては意外にもあっさりな結末に、やや肩透かしを食らった感は否めないですが、あくまでアクション映画ではなくハードボイルドな男の話として作品を作り上げようと言う気概は感じ取れましたから、まあこれはこれで渋くて好感の持てる作風ではありました。
戦場で負ったトラウマから、逃げ続けている自分を見つめ直し、罪を受け入れ更生しようと行動する姿は、哀愁たっぷりでグッと来ましたよ。
このストーリーにハードなアクションはいらない、このぐらいでちょうど良かったと思いました。
ジェイソンと修道女の心に傷を負った者同士の一時の恋模様も、切なさたっぷりで地味ながら作品に厚みを持たせてくれましたね。
お互い共鳴しつつも、向かう方向性は違う二人、う~ん切ない、またいい歳した修道女が時折見せる少女な部分が、たまらなくいいんですよねぇ。
でもドレス姿はオバサンチックでちょっと似合わなかったかな(苦笑)
まあ全体的にはジェイソン映画としてはホント地味でしたし、爽快感もない話ではありましたが、珍しくメッセージ性もあったりで、ちょっといつもとは違った趣を感じられた映画でした。