「卵と壁」オマールの壁 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
卵と壁
卵はいつだって、どんな時だって、好む好まざるに関係なく、簡単に割れてしまう。
簡単に割れてしまう卵を、簡単に割れてしまわない様な、粗末に扱わない様な、粗末に扱われない様な、そんな世界が来るのだろうか。
村上春樹の言葉を借りれば、壁はあまりにも高く、あまりにも強く、あまりにも冷たい。スクリーンに映し出された壁は、日本人である私に対しても、あまりにも高く、強く、冷たかった。なぜなら壁は、パレスチナ人の前に立ちはだかっているのではなく、私の前に、そして私達人類の前に立ちはだかっているからである。
壁を作ったのは私達人類だ。
しかし、卵を孵すのもまた、私であり、私達人類であるのだ。
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