「最低って何⁉️」勝手にしやがれ 活動写真愛好家さんの映画レビュー(感想・評価)
最低って何⁉️
自動車泥棒の常習犯ミシェルは、スピード違反で呼び止められ、警官を射殺。パリでアメリカ娘パトリシアと過ごすが、パトリシアは突然警察に密告、駆け付けた警官にミシェルは射殺される・・・‼️30年前の初見以来、何十回観たか分からないくらい、大好きな映画ですね‼️ストーリーを追っても普通のアメリカ製B級ギャング映画‼️しかしゴダール監督とベルモンド、ジーン・セバーグらによって、現在観直しても唯一無二なカッコ良さとカッコ悪さが同居する不思議すぎる傑作になってます‼️まずアクション・シーンなどに見られる、ぎくしゃくしたようなカット割‼️多分、無造作にフィルムをカットしたために起きる、映像がつながっていないようなフィルムの流れ‼️ジャンプカットと言うらしいのですが、逆にそれが映画のスピード感に貢献したりもしてる‼️そして観客に向かって話しかける主人公‼️最近でも某アメコミヒーローがバカの一つ覚えみたいにやってますが、今作がハシリだったわけです‼️そしてロケ中心の撮影、しかも手持ちカメラのブレブレ映像、加えて唐突なクローズアップの多用‼️通行人が撮影を珍しがるみたいな、まるでドキュメンタリーっぽいのも斬新‼️そんな遊び心に満ち、挑発的な事が出来たのも、今作がゴダール監督のデビュー作だからかも知れませんが、そんなハチャメチャな演出が一本の映画としてまとまってるんだから、ゴダール監督はやっぱりスゴい‼️映画史上でもズバ抜けてクール‼️見事にそれまでのルールブックをビリビリに引き裂き、ゴミにしてくれてます‼️監督がクールならキャストも超クール‼️何のためらいもなく自動車泥棒を繰り返し、金がなくなると簡単に盗みを働く。しかも淡々と警官を射殺し、交通事故で人が死んでいても全く気にしない。まるで人生を遊んでいるような、道徳観念のまったく無い、無機道な主人公ミシェル‼️演じるベルモンドの、およそ演技とは思えない、素の反応みたいな芝居が、ミシェルという男を実にリアルにしてますね‼️タバコの吸い方もカッコいいし、ラスト、"最低だ" とつぶやいて、自らの手でまぶたを閉じて死ぬミシェルは、超カッコいい‼️ボギーに憧れてるのも、かなり親近感を覚える‼️そんなミシェルがくわえタバコ、あみだに被ったソフト帽、ツイードのジャケットと短めのパンツスーツでキメ、その横にニューヨーク・ヘラルド・トリビューンのロゴ入りTシャツにパンツルック、そしてセシル・カットと話題になった大胆なショート・カットのパトリシアが寄り添い、二人でシャンゼリゼの並木道を歩くシーンなんて、ホントにスマートでカッコ良くて忘れられない‼️パトリシアに扮するジーン・セバーグのショート・カットの破壊力はホントに凄まじいですね‼️多分、人類史上最高にショート・カットが似合う女性‼️そんなパトリシアに開口一番、「今晩寝ないか?」と単刀直入にさりげなく言えるミシェルも、時代のヒーローにふさわしいと思います‼️まさしく映画史上最強のカップル‼️そして今作はなんと原案にゴダールはじめ、フランソワ・トリュフォーとクロード・シャブロルのヌーヴェル・ヴァーグ最強トリオが集結している‼️それだけでも映画史に残ると思うんですが、様々な技法、ジャンル、演出が出尽くした現代だからこそ、再見するたびに新鮮な気持ちにさせてくれる、そんな作品です‼️
スゴイ!
こんなにもその作品を観たくなるレビューにはなかなか出会えません!
自分も10代の若造の頃にうっかりこの作品に手を出して、ジーン・セバーグのショート・カットにクラクラした人間ですが(笑)、そのときに「フランスの大人の女性ってクールすぎる…」「フランスの大人の映画ってクールすぎる…」とゴダールに対して萎縮してしまい今に至ってしまいました(笑)。
でも、活動写真愛好家さんの痺れるようなレビューを読んで、久しぶりにジーン・セバーグとジャン=ポール・ベルモンドのクールさに痺れてみようという気になりました!
活動写真愛好家さんのレビューの躍動するようなリズム感は唯一無二です❗️