「ヌーベルバーグの金字塔」勝手にしやがれ カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
ヌーベルバーグの金字塔
4Kレストア版を劇場鑑賞。
本作は細かくストーリーを追うような映画ではなく、哲学と感性とエモーションで疾走感とオシャレと粋を表現したことで当時の批評家達にその革新性を評価され、即興的な演出やセリフ、手持ちカメラでのゲリラ的な街中のロケ撮影など当時としては斬新な撮影手法がその後の世界中の映画関係者へ多大な影響を与えている。
今回30数年ぶりに鑑賞し思ったことは、言い方は悪いかもしれないが、その時代では世に強烈なインパクトを残した最先端の映画ではあったが、決して時代を経ても色褪せない普及の名作の類ではないということ。
言い換えるとナマモノなので採れたては最高に美味しいが賞味期限がある、そんな映画ではなかろうか。
特にミシェルがホテルで一生懸命パトリシアを口説くシーンはさながら詩集や哲学書を読み合っているようなセリフの応酬が延々と続き退屈ささえ感じてしまう。
ただ、今見ると少し幼さを感じる拗ね顔のジャン=ポール・ベルモンドのさながらパリ中にあるもの全てが自分のものであるかのような自由気ままな振る舞いと愛に生きる姿は当時のパリジャン達の理想の格好良さであったのではないかと思うし、現代においてもそのファッションやクルマなどおしゃれで粋な雰囲気は永遠で憧れる。
おじさん世代にしかわからないと思うが、無様でカッコ悪いがどこかカッコ良さを感じるラストシーンは「太陽にほえろ」のマカロニ刑事が殉職するシーンとダブってしまうのだが、ショーケンもきっとミシェルの生き方に憧れてたんだろうななどと勝手に想像している。
コメントする