おもちゃ 虐げられる女たちのレビュー・感想・評価
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韓国芸能界の闇
タイトル"おもちゃ"のように、人としての尊厳も人権も無視されて、虐げられ、乱用され、最後には壊れてしまった女優。
夢を追いかけて飛び込む芸能界は、表向きは煌びやかで華やかだけれど、その裏では私たちが想像もできないような恐ろしい事があるのだろうなと思う。
本作は,実際にあった話をもとに作成されていて、内容が内容だけになかなかスポンサーなどもつかず、クラウドファンディングを使って資金集めをしたらしい。
主演のネットニュースの記者役にマ・ドンソクさん。
彼の作品は少しずつ鑑賞しているが、こんな社会派の映画にも参加しているなんて好感がもてた。
韓国では若くして自殺する芸能人が少なく無い。
小さなマーケットの中で、芸能界という世界は競争がものすごく厳しいんだろうなと思う。
どこの世界にも権力やお金を振り翳して、弱者をいたぶるクソみたいな輩がいるとは思うが、この映画を見て、こんなことあり得ないだろうと思えない事が逆に悲しく思えた。
ただ体を弄ばれるだけでなく、心を傷つけられ、どうしようもなくなっていく女優が描かれていて、本当に見ているのが辛くなった。
本作と、実際にあった事件が同じ結末であったかどうかは知らないが、罪を犯した奴らがそのまま平々凡々と、また、他の被害者を出しているんじゃないかと思うと本当に早く捕まえて社会的地位を奪って、罰せられて欲しいと願う。
韓国芸能界の闇のほんの一部を覗いてしまったが、氷山の一角にすぎない事を忘れてはいけない。
【2022.3.16追記】
タイムリーにも、日本の芸能界で本作のように、映画監督(それも、性被害映画の)が何人もの女優を権力振り翳して性被害を負わしたとの告発がありました。ほんま人間のクズですね。しっかりと罰して頂いて、世間に出てこれないようにして頂きたい。
悲しくてやりきれない
マ・ドンソク作品を全制覇するという軽い気持ちで観たら、とんでもない社会派作品だった!この映画の中では「直撃ニュース」というネットニュース記者イ・ジャンホを演じているマブリー。女優チョン・ジヒが自殺した原因が、事務所社長、映画監督、大手新聞社会長による性接待によるものという裁判を取材するという内容だ。
自殺する韓国芸能人は非常に多い。それどころか、韓国の人口比自殺者数がOECD加盟国の中で1位を占めている現実。おそらく2009年に亡くなったチャン・ジョヨンさんの事実を映画化したのだと思われます。
個人的には『永遠の片想い』(2003)に出演していたイ・ウンジュさんの大ファンになったばかりの頃に彼女の訃報を聞きかなりショックを受けました。『スカーレットレター』(2004)では大胆ヌードと濡れ場を演じて、それもショックだったのに・・・日本で公開されたのは彼女の死後でした。もしかしたら、彼女も同じような事実があったのかもしれません。また、『ホワイト』(2011)でもホラー映画ながら少しだけ言及されていました。
内容が内容だけにスポンサーがつかず、クラウドファンディングで資金を集めたとか。そのためエンドロールには大勢の名前が書かれていました。映像や編集を考えると低予算らしさがありますが、訴えてくるメッセージにずしりと重さを感じます。検察側のキム検事はまだ新人なのでたどたどしさはあるものの、女性蔑視を訴える芯の強さがあり、それを支えるマブリーの男らしさも見事。残念なのは最高裁判所判事の娘という設定くらいか・・・
2010年の国家人権委員会による「女優人権侵害実態調査」によれば、酒接待をしたことある女優が45%、性接待を提案されたケースが62%だとか・・・乱れてますね。日本でも昔はそんな噂がいっぱいあったけど、歌唱力の無い歌手、演技力のない女優は最近少なくなってるような気もする。知らんけど・・・
新聞社ヒョン会長のふてぶてしさ、雲隠れしている謎めいた女優コ・ダリョン、悲しみを隠すマネージャーなど見どころはいっぱい。アクションを封印したマ・ドンソクもいいぞ!
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