「やっぱり原作が好き。」ソロモンの偽証 後篇・裁判 mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
やっぱり原作が好き。
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この原作の弱点は、柏木卓也(望月歩)の死亡事件に他殺の線はまったくないのに、告発状のせいで大出俊次(清水尋也)が名指しされ大騒動になり、学校内裁判に至る。しかもその告発状は三宅樹里(石井杏奈)のでっち上げということもわかっている。
いわば二重のハードルである。
この裁判は茶番ではないか。
真辺克彦脚本、成島出監督が選択したのは、この裁判が、藤野涼子(藤野涼子)、神原和彦(板垣瑞生)の贖罪となるというストーリーラインであった。
原作では、柏木卓也の奥深い悩みも描写され、陪審員たちもそこを見ようとした評決を下す。
どちらがいい悪いの問題ではなく、もはや好き嫌いの話である。
原作を読んだときに、これは書きたいことを書きたいように、枚数を気にせず書いたものだと感じた。すべての登場人物に作者の愛を込めた小説だったのだ。
原作を知らずに映画を見ると、柏木卓也はとんでもない自己中男に見えるのではないか。もっというとモンスターに見えたのではないか。
映画の作り手は、そこを犠牲にして、藤野涼子、神原和彦よりのドラマにしたてた。
それでも泣かせるシーンはいっぱいあったし、それぞれに希望のもてる終わりになったとは思う。
それに、大量に輩出した若い役者たちの今後の活躍も期待できる。
本作の映画化は、それだけでも値打ちがある。
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