「本作こそが偽善」ソロモンの偽証 後篇・裁判 ヒートこけしさんの映画レビュー(感想・評価)
本作こそが偽善
全編に渡って観る者に「罪の手ざわり」を感じさせよう(或いは思い出させよう)とする明確な意図を感じるがそれこそが鼻に付く。そういうメッセージ(の・ようなもの)よりまずは映画として面白くすることを優先スベキ。『前篇・事件』がちゃんと面白かっただけに落胆
ゲームの逆転裁判のような感覚で徐々に真相が明らかになるがそれが本当に拍子抜け。自殺した少年の人間性に問題があり過ぎて俺も「死にたきゃ勝手に死ねよ!」と思った。まあこれも明らかに意図的なものだが…だからそれこそがムカつくって言ってんだよ!
観る者に「お前はどうだ?」と声高に言いつのるだけの説教臭い作品を観ると逆に考えたくなくなる。間違っても「考えさせられる」なんてことは絶対にない。口先だけの偽善者?いや俺は別に善者ぶってなんかねえ!
「俺を罰してくれ!」なんて言ってる奴がよっぽど偽善者なんじゃない?お前はキリストかよって話。偽キリスト者
最初に「罪の手ざわり」って書いたけどそれこそラストカット一発で観る者に突き付けてきた『罪の手ざわり』の鋭さたるや…
登場人物の行動原理が理解できなくなるともう心は離れていく一方。辛かったなあ…そういえば洗濯物干したまんまやとか夜食は何にしようかとかどうでもいいことを考えよった。でもスクリーンに映ることの方がそれ以上にどうでもよかった。『ソロモンの偽証 後篇・事件』は今のところ今年のワーストです
とにかくムカつくというか鼻に付くというか…そういう作品だった
ラストの余貴美子の台詞が糞寒かった。「今じゃこの学校ではイジメも自殺も起きてないんです」やって。理想論だとしても寒過ぎる。しかもイジメに関しては教師が把握できている範囲ってだけの話だろ?実はこの作品こそが偽善なんじゃないかと思った俺は悪いですか?でも俺は「俺を罰してくれ!」なんて言わないぜ!
『前篇・事件』の面白さはミステリーとかホラー的なものだったもんなあ…『後篇・裁判』は法廷ドラマとして本当に青臭かった
これはもう被害妄想の域かもしれんけどスクリーンから敵意のようなものすら感じた。とりあえず『前篇・事件』の評価も下方修正ですな
ソロモンの偽証 後篇・裁判』は映画としての見た目は現状邦画では最高峰なのは間違いない。だから余計タチが悪いと俺は思うわけです