「予備知識ゼロでの鑑賞」パッセンジャー 肉ネ~ムさんの映画レビュー(感想・評価)
予備知識ゼロでの鑑賞
意外とコメントの評価が低いと思ったほど個人的にはツボだった。
1人の孤独と絶望と誘惑
2人の恋愛と反目と協力と選択
状況によって変化する登場人物の心理描写から目が離せない。
この手の映画をたくさん観てる人には既視感があったんでしょうが、あれだけ広い宇宙船にほぼ1人または2人という設定も新鮮だった。広すぎると逆に寂しさが増すようだ。
自分オトコですが、ヒロインが魅力的だったことも重要。主人公は基本的には常識人で、乗客のなかに彼女さえいなかったら孤独で絶望的な宇宙旅行を選択したことだろうと思わせる。
ラストに近いシーンでのハスキーボイスは、セリフ外でも悲痛な心境を見事に表現しており緊迫感が増幅され大変よかった(ハスキーなのはこのシーンだけ、すごい!)。
美男美女でなくても映画になると思うが、テーマは変わったことだろう。
表面的には丁重なシステムの自動音声の無機質さや冷たさと対照的な彼女の豊かな表情、温もりとの対比もすばらしい。
設定の甘さについては、あまり気にならなかった。なんせそれなりに未来のお話なので今の常識目線で違和感があっても不思議に思う必要もない。違和感を覚えるほどに確かな未来の知識を我々は持ちあわせていないのだから。
船外での衝突音なんかは紛れもなくウソ設定だと言えるけど、この程度は許容しないと「ゼロ・グラビティ」とかかなり多くのSF作品もアウトになる。
欠点をあげるとすれば、後半少し大風呂敷を広げすぎ。あんなに派手にしないで、ギリギリ素人でもなんとかなりそうなレベルのエラー対応をちょっと地味でもじっくり見せてもらったほうがよりよかったとは思う。
最後に、もしヒロインがただ1人残されてしまったら彼女は誰かを道連れにしただろうか...主人公と同様、彼女の良心はそれを許さないだろう。でも1年後は?2年後は?そんなラストでもよかったかな。