「焦点絞れず、企画倒れ感あり。」柘榴坂の仇討 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
焦点絞れず、企画倒れ感あり。
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死なせてもらえなかった男と、死ねなかった男。
追う男と、追っ手を密かに待つ男。
生き恥をさらし続ける男と、誇りをひた隠して生きる男。
この物語のコンセプトは、キャッチコピーのとおりだろう。仇討ち本懐を遂げるためにひたすら敵を探し求めて13年、遂に追いつめたその時、時代は仇討ちを禁じたという運命の皮肉。
短編ならではの面白いシチュエーションだ。
が、脚色に消化不良を感じる。
武士の生き方をテーマに持ってこようとして、焦点が絞りきれていない。
なによりこの映画、リアリティーに欠ける。
逃亡する暗殺者がいつまでも江戸近辺にいるか?
追っ手の裏をかいて江戸に潜んでいたとして、捜索側は日本全国津々浦々駆けずり回らないか?
とか、とか。
さて、仇討ち禁止令が彼らの運命を変えたのか、という肝の部分。
いや、単に主人公が妻に対して仇討ちをやめた理由にしただけだ。
なぜ仇敵に「生きろ」と言ったのか、肝心な心境変化の過程が描けていない。
とはいえ、明治を生きる武士をある意味コミカルに描いていたり、台詞や所作で時代劇の良さを再認識させてくれるところは評価できる。
ミサンガはどうかと思うが、原作にあるのだろうか?
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