「時代劇もいろいろ。」柘榴坂の仇討 mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
時代劇もいろいろ。
浅田次郎の原作を若松節朗監督が映画化。少し憂慮していたことがあったのだが、そのまま出てしまった。
いろいろとあるのだが、まずなぜ時間軸をいじったのか。
オープニングが志村金吾(中井貴一)の悪夢。刺客に襲われたときに刀の柄に覆いがしてあってすぐに刀を抜けずみすみす主君を討たれる。
その夢は過去の経験であった。
このシーンは必要だったのか。
金吾が主君井伊直弼(中村吉右衛門)の警護役になっていわば人生の絶頂にあり、そんななかでの桜田門外の変。
井伊直弼を討った者のうち、5人が逃亡。その5人の行く末も回想で語られる。
武士としての矜恃。それはわからないでもないが、討たれる前に直弼が言った言葉を主命とするなら、13年も追わないのでは。それが第2の不満。
13年、仇をうつために人を追い続けるつらさが映画からは伝わってこなかった。それが残念である。
小説でしか表現しえないものがあって、それを映像化するのはやはり並大抵のことではない。
そこに挑戦した意気は感じるが、もうひと息であった。
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