「ニューヨーク無責任時代。 男子中学生かお前ら💦」恋人まで1% たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
ニューヨーク無責任時代。 男子中学生かお前ら💦
特定の彼女を作らず、自由な恋愛を謳歌する男ジェイソンに訪れたとある出逢いを描くロマンティックラブコメディ。
ニューヨークでデザイナーとして働く軽薄なモテ男、ジェイソンを演じるのは『ハイスクール・ミュージカル』シリーズや『ヘアスプレー』のザック・エフロン。
ジェイソンの親友兼ビジネスパートナー、ダニエルを演じるのは『ダイバージェント』『セッション』のマイルズ・テラー。
ジェイソンの親友である医者、マイキーを演じるのは『クロニクル』『フルートベール駅で』のマイケル・B・ジョーダン。
90'sの香りが漂う昔ながらのロマコメ。
注目すべきは俳優陣のアンサンブルだろう。今やハリウッドを牽引するスターとなった主演の3人が、若々しくも堂々とした演技を披露。どぎつい下ネタやベッドシーンの多い作品だが、それでも全く嫌悪感がないどころか、むしろ爽やかさすら感じられるのは、彼らの溢れんばかりのチャームが本作を支えているからだろう。
ちなみに、ベッドシーンは男性陣の方が断然露出が多い。ザック・エフロンなんて脱ぎまくりである。実にターゲッティングがはっきりしている。彼のファンはさぞや悶絶する事だろう。
メインヒロインであるエリーを演じたイモージェン・プーツやマッケンジー・デイビスも魅力的に撮られている。プーツにはメグ・ライアン、デイビスにはジュリア・ロバーツの面影が感じられ、往年のラブコメ映画の懐かしさが脳裏をよぎる。
男優陣と女優陣、それぞれが醸し出すフレッシュさが見事に噛み合っており、それが本作の陽性な側面に磨きを掛けていた様に思う。
若きスターたちの演技に文句はないが、ストーリーはつまらないし意味不明。ランタイムは90分程度なのだが、+1時間くらいは長く感じてしまった。
描かれているのは有害なホモソーシャル。「俺たち独身同盟だぜ!ヤッホー!と宣言した手前、彼女が出来たとは言い出せないぜ…」という男たちの見栄が悪い方に転がってゆく。
…いや、男子中学生かっ💦こんなクソテキトーな物語でよく90分間引っ張ったな。それが凄いわ。
「エリーのお父さんの葬式に出たら、公認の仲だという事になってしまう」とかいう死ぬほどどうでも良いトピックを山場に持ってきた事には心底驚いた。そんなもんさっさと葬式行けぇ!!
若者たちのリアルな恋愛云々…という触れ込みだったが、登場人物全員めちゃくちゃ金持ち。ニューヨークであんなデカい部屋借りて、しかもパーティやり放題。舞台は1920年代かっ!?
そりゃハリウッドスターたちからしてみりゃそれがリアルなのかも知れないけど、庶民的な感覚からすればこんな夢物語に感情が移入する訳がない。もちろん、ロマコメというのは夢物語でなんぼなものだが、それはちゃんとしたリアルな下地があってこそのもの。グラグラの土台の上に砂のお城を築こうとしたって、そんなもんはどだい無理なのです。
※エンドロールはジャッキー映画やピクサー作品のようにNGシーン集になっている。その中で謎の黒人俳優が出てくるが、その正体はマイケル・ケネス・ウィリアムズ。『THE WIRE/ザ・ワイヤー』(2002-2008)というドラマでブレイクした役者で、何を隠そうマイケル・B・ジョーダンはミドル・ティーンの頃にこのドラマに出演している。彼がウィリアムズに抱きついていたのはこういう経緯があるからなんですね。