劇場公開日 2014年11月15日

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「歪んだ愛のカタチ…」紙の月 harukitaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5歪んだ愛のカタチ…

2014年11月23日
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鑑賞方法:映画館

知的

異例の盛り上りで日本アカデミー賞まで受賞した『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督の作品ということで、自分の中ではかなり注目していましたし、期待も高まっていました。

もし世間的にもそうなら、監督としてはある意味本作が試金石になるのではないでしょうか。

また難しいテーマに感じられる作品に取り組んだものだと思う。
下手したらただの事件簿になりかねない。
しかし監督はこれを高いレベルの良い作品に仕上げできた。
ただ、賛否両論あるだろう。
誰が観ても手放しで楽しめる映画と言う訳ではない。
勧善懲悪めでたしめでたしって話ではないから、そういうのを期待して観ている人には評価されないだろうと思うし、映画内で答えを示して欲しい観客には物足りないかも知れない。
何故なら本作で描いているのは、主人公の悪行を罰するものでも、善悪を問うものでもないからだ。

梨花のお金を通してしか実現できない歪んだ愛やその生き方そのものを観客に問う、開かれた結末の映画だと思っている。
なので本作も『桐島~』同様、観た後にあれやこれや考えてしまう。
私は観賞後1週間梨花について考えさせられました。
果たして梨花は本当に幸せだったのだろうか?とか、誰かのためとか言っても結局は自己満足のためなんだろうなとか…。

主演の宮沢りえさんの演技は良かった。どんどん綺麗になっていく様は見事だ。
そしてなんと言っても隅より子役の小林聡美さんが素晴らしい!
本年の助演女優賞ものだと思う。
その対比としての大島優子さんもハマっていたのではないだろうか。

harukita