「アメリカの 家系図は 丸い」子連れじゃダメかしら? きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカの 家系図は 丸い
親の再婚で泣く子どもたち
「パパは心が広い人だから二人の人を愛せるのよ」
ジムの妻が亡くなるまえに子供たちに伝えた言葉だ。
なんと永遠にすべてを満たした言葉。配慮に満ちた遺言だろう
子連れ同士の再婚はむずかしい。
親と子の、気持ちに折り合いをつけるための旅だ。
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アメリカで、
小学校で「おうちの家系図」を書いてくる宿題が出たそうだ。
で、「同心円の丸い家系図」を書いて提出してきた子がいたのだと。
皆さんもそれをちょっと、どういう絵だったのか、どういう事か、想像をしてみてほしい。
お父さんとお母さんが3、4人。
祖父母たち、曾祖父母までいくと両手に余りそうなところまでいくのかも知れないね・・。丸い家系図の真ん中に「自分」という構図だ。
なるほど、日本でも三組に一組は離婚という時代になっているから、似た感じになってくるのだと思う。
本作、さすが離婚大国という事で、そんなアメリカならではの、世相を映した、ちょっと苦くて、コメディタッチな「お見合い物語」ではあった。
たまたま転がり込んできたアフリカ旅行。
でも本当は彼らはお金には余裕はない。
だからドリューは毎年夏休みに子供たちをボーリングとモールにしか連れて行けなかったし、
ジムは自宅の庭でテントを張って子供たちとキャンプごっこだ。娘らの散髪は床屋だ。
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親同士は当然のこと、その連れ子たち同士の我慢や警戒や不安。当然起こるだろう相手への拒否反応。
遺児たちの哀しみがひしひしと伝わってくる。
たったひとりで育ててくれた自分の親を、新しいパートナーに取られたくないという思いと、でもそれぞれに、パパにもママにも幸せになってもらいたいという子らの相反する真心の葛藤が、見ていても辛いのだ。
亡き母の思い出が、新しい継母の登場で消えて行ってしまう悲しみに、娘たちは泣いていたのだ。
だから親たちは再婚をためらう。
それでもこの映画が湿っぽくならなかったのは、二つのファミリーを囲む他の登場人物のすべてが、彼らの幸せを厚かましくも祈っていてくれたからかも知れないね。
・うざいムファ
・暑苦しくてやかましいダンスチーム
・職場の悪友の彼女
・スポーツ用品店の気立ての良い同僚
すべて
片親世帯に幸せになってもらいたいという、製作者たちの願いだろう。
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楽しい映画でした。
でも、あのあと・・
ドリュー・バリモアの「前夫による壮絶なストーカー犯罪」が起こるのではないかと
嫌な不安感が残ってしまったのは、僕だけではないはず。