「記憶探偵の記憶。」記憶探偵と鍵のかかった少女 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
記憶探偵の記憶。
人間の記憶ほど曖昧なものはないと思っているので、
この「記憶探偵」なんていう職業が本当に成り立つのか?と
半信半疑な気分で鑑賞。発想や設定はとても興味深く、
超悪役探偵とでもいいたくなる(失礼!)M・ストロングが
善人役だなんて!それだけで何て喜ばしいことかと思った。
彼の定着した成り切り演技は観る者をどんどん惹き込むので、
導入部ですごく期待が高まるんだけど…。
なんだいこりゃ!?と思わせるのが、あのラスト。
まぁ観ている間にだんだんとそれが見えてはくるんだけど、
もうちょっと巧い演出法はなかったものか?と思えるほどに
脱力感がハンパない。ホラ見ろ。だから記憶なんてものは…
と、自らの嫌味が頭中で炸裂してしまった^^;
これをサイコ・サスペンス・ミステリーと謳ってていいのか。
少女役のT・ファーミガはV・ファーミガの21歳年下の妹。
え?娘じゃないの?と思うくらい(ホント)よく似ている^^;
私的にこのお二人、顔は美人だけど、一癖も二癖もある
雰囲気を持っているので、きっと探偵が騙されるんだろ!?
とハナっから思えてしまう。そして冒頭から繰り返される、
探偵自身が抱える忌まわしい過去。この記憶が断片的に
入り混じり、探偵を苦しめるのがラストへ繋がるミソになる。
どうなるんだろうと思わせる展開は面白いが、とにかく部分
的に粗が多く、説明が圧倒的に足りないので入り込めない。
本来人間の記憶というのは実際見たものが映し出されるので
正確なんだそうだ。でも人間歳をとると(いや、とらなくても)
都合のいいように記憶を書き換えるようになってくることから
しばしば口論の元になる。私的にそんな知り合いに苦しめられ
たので、その人の記憶が必ずしも真実だと私は思っていない。
ここに描かれていることが真実だと思わせるタイプの作品も、
ある意味、洗脳・騙しのテクニックに冴えているのだ。
(脚本に難があるのかな。最後まで巧く騙せたら良かったね)