劇場公開日 2014年9月27日

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「全部が複線で、全部がまやかし。」記憶探偵と鍵のかかった少女 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5全部が複線で、全部がまやかし。

2014年10月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

う~ん、たまらんですね。唸りました。
久々に上質な推理サスペンスを観た!という充足感を得ております。
一見、「人の深層心理に入り込む」という意味合いや設定に於いてはクリストファー・ノーランの『インセプション』を思わせる部分もあるんですが、あっちが扱ってるのは「夢」で、相手の夢に侵入して重要な記憶を盗んだり思想を植え付けたり……て物語で、こっちは「記憶」を覗いて、そこからクライアントのトラウマを解消したり事件の真相を探るって物語なので、ちょいと目線が違ってるんですね。

で、本作でマーク・ストロング演じる記憶探偵ジョン・ワシントンが依頼された、簡単だった筈の、或る少女のトラウマ開放への「記憶探り」が、とんでもない方向に転がりだす、というのが軸でございます。これは本当の記憶なのか!?どれが本当なのか!?嘘なのか!?的に物語が進行するんですな。
観ていてね、ひとつも油断ができないというか、兎に角ずっと揺らめいてるんですよ。ずっと不安というか。タイッサ・ファーミガちゃん演じる不思議不気味美少女アナ・グリーンは果たしてシロなのか、クロなのか?(本当にトラウマ持ちなのか、或いは確信犯なのか、的な)という。
何もかもが怪しくて、何もかもが疑わしい。
記憶探偵が疑わしい。依頼人が疑わしい。少女が疑わしい。証言者が疑わしい。上司が疑わしい。資料が疑わしい。記憶が疑わしい。全部が疑わしい。

やがて訪れる衝撃のラスト!どんでん返し!そして更にどんでん返し!なるほどなるほど、そう来ましたかと。
いやあ綺麗に騙されました。

これ、続編出来ますよね?記憶探偵シリーズとして。またマーク・ストロング主演で観てみたいなあ。新たな記憶巡り。それぐらいに良かったです。再び騙されたいですよ。

いや、ま兎に角、良き時間を過ごさせて頂きました。

ロロ・トマシ