「いい意味で円熟の第3作」エクスペンダブルズ3 ワールドミッション Tenjinさんの映画レビュー(感想・評価)
いい意味で円熟の第3作
チョイ役にも大物が配置されている正真正銘の豪華キャスト。ハリソン・フォードやシュワルツェネッガーが脇役で出てくるのはこのシリーズならではかも。
いつもの面々と若く新しいメンバーとの対比が一つのテーマである今作。しかし、無理やり加入したガルゴが完全に他を食っちゃってますね。まあ、演じるバンデラスが元々実績のあるスターなので格が違うといえばそれまでなんですが。
とにかくうざいほどにしゃべり続けるのが特徴で、困惑する他のメンバーの様子がとてもおかしいのですが、ガルゴにとっては大事な戦友を失った悲しみがいまだに癒えずにいるのが段々わかってきます。大げさに言うなら今回の戦いのすべてが一種のセラピーなんでしょう。それが最後にボスのロスとハグすることで完結するというわけですね。ただ、激戦のさなかに「俺の人生今最高!」と叫ぶシーンは面白いしかっこいいけど、戦いの中でしか充実感を得られないのは傭兵の悲しい宿命といえるかもしれません。
他のメンバーもバイクでビルに飛び上がったり、プロレス技で敵を倒したり、各人の特徴を生かした見せ場がちゃんとあって楽しい。映像としての見栄えもいいし、テンポの良さにもつながっていると思います。
悪役として登場するメル・ギブソンも存在感があっていいですね。抜け目のなさや冷酷さが恐ろしく、いい敵役っぷりでした。最後に徒手空拳で戦いを挑むのは「コマンドー」のベネットみたいで甘い気もしますが。
続編では戦うシーンがなかったロスも今作ではしっかり前線に立っているのが頼もしい。早撃ちの特技も随所で生かされていて主役らしい活躍です。スタローンはこの時点でもすでに70歳近いので、アクションシーンで動けるだけですごいことなんですが。
ロスがガルゴ一人だけを連れて敵地へ乗り込もうとするところへクリスマスが仲間と一緒に駆けつけるのが最大のクライマックス。「一人で抱え込むなってんだ、この大馬鹿野郎!」「けど、手を貸せる馬鹿野郎も俺たちしかいないぞ!」はこの作品を象徴する名セリフ。友情や仲間との絆っていいですね。