「切なさがやたらと記憶に残る映画」チョコレートドーナツ めるこさんの映画レビュー(感想・評価)
切なさがやたらと記憶に残る映画
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グリーンブックを見たときにも感じたが、あまり直球で辛いことは描かないというのがヒットする映画の条件のような気がする。
などと思いつつ、この映画のレビューを見たら、意外とショックを受けている人が多くてびっくりした。
実際にはもっと大変な差別や偏見があったと思う。
ダウン症の少年と向き合うのも色々と難しい問題があっただろう。
そういった部分はわりとさらりと描かれている。
しかしそのあたりの描写がリアリティーに欠けていることは、この作品においてさほど問題ではないような気がする。
ゲイのカップルのふたりは少年を深く愛していた。
一般的なスピードでは成長しない少年の勉強を見て、お話をしてあげて、そばにいてあげた。家族愛というか無償の愛を与えた。
アラン・カミングの切ない表情が忘れられない。
特にポスターにもなっている、泣いているマルコを抱き締めるシーンは心の奥のほうを義ゅっと掴まれた。
マルコが夜を歩くときの世界はうつろ。焦点のあわない街の光がふわふわと夢の中のよう。
ハッピーエンドが好きだった彼が、ハッピーエンドを手に入れられなかった。
そのせいで余計にこの映画が印象に残るんだと思う。
二人のなかにこれからもずっとずっと残る、マルコ。
マルコのなかにもずっと二人が残っていく。
エンディングの歌詞の切なさもいい。
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