「ビジュアル以外で騙されたい。 [スコア修正]」ジョーカー・ゲーム 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
ビジュアル以外で騙されたい。 [スコア修正]
日本映画でこの時代が舞台のスパイ映画って珍しいと思うし、アナログかつ
スマートなアクションも期待できそうだったので少し期待していた作品。
まあ最初に結論から言ってしまうと2.5~3.0判定
くらいのあと一歩な出来の作品だと思うのだが……
気に入った点から書くことにします。
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まずは、主演の亀梨和也は大健闘!
イケメンでしかもアクションも出来る役者って画になるのでシンプルに良い。
中盤繰り広げられるパルクール風アクションの動きなんて見事なもの。
(衣装チェンジが意味無いとか言う方もいるが、
追っ手を巻こうとしていた訳だし、とりあえず
画的にもスマートに見えるんで個人的にゃ全然アリ)
演技はいまいちユーモアに欠ける感じだが、主役の存在感はしっかり発揮。
それと伊勢谷友介。
もう少し物語のサスペンスに寄与する役回りだったら
良かったのにとは思うが、衣装似合い過ぎだし冷徹な雰囲気も凄く良い。
あと映像面も頑張ってました。
衣装やら舞台やらで違和感を感じるシーンは無かったし、
格闘アクションや爆破シーンもちゃんと迫力アリ。
少なくとも映像的にはチープさは感じなかった。
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けどまあ……ここから不満点をつらつらと。
本作の予告編を見て僕はドンデン返しやら壮絶な騙し合いを期待していた。
いわゆる“ドンデン返し”って、真相につながる情報を小出しにしつつ、
最後まで観客にそれを気付かせないことが大事だと僕は思う。
だが本作のそれはまるで後出しジャンケンで、『騙された!』という爽快感は無い。
劇中の言葉通り、『情報網の蚊帳の外に置かれて
カモにされる人』=ジョーカーなら、これって実は
観客がジョーカーでした、というオチなのかまさか。
……いや、つうか、宣伝で煽っていたほどの騙し合いや
ドンデン返しなんてあった?というソモソモの疑問。
話は読めるしクライマックスも色々と都合良すぎるし……。
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あと、キャスト。
まず深田恭子。ファンの方には悪いが彼女、容姿は美人だが役者としては
一本調子な演技の印象しか無いので正直好きじゃない。
本作でも同様とだけ書いてこの話題を終える。
それと今回改めて感じたのだが……外国人俳優さんをむやみに
起用するのはホントやめた方がいい。国際色やスケール感が出るどころか、
オーバーな演技が他キャストから浮いちゃって、かえってチープ。
色々間違って解釈されたイギー・ポップみたいな風貌の
殺し屋さんはギリギリキャラ立ちしてるのでまだ我慢できるが、
その他はピーナツバター並みのベタベタ演技。せめて黒幕マークスの
海外テレホンショッピング級オーバーアクトはどうにかならんかったんか。
挿入されるクラシック曲のベタ過ぎるチョイスも脱力で、
このベタ選曲と海外キャスト陣のベタ演技とが重なり合う
魔の瞬間には思わず苦笑いが浮かんでしまった。
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まとめると、
主演を初めとして美男美女やクセのあるキャスト揃いなので画ヅラは悪くない。
アクション映画としての“見てくれ”もけっこう良いし、
最後まで退屈せずに観られる出来ではある。
けどこの脚本、演技、演出の安さはつらい。
続編も作る気なのかも知れないけれど、
やるなら画ヅラ以外の所も凝ってくれないと、
あんまし観る気は起きないかなあ。
<2015.02.01鑑賞>
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余談:
小出恵介の猛烈にキザな演技で何度も吹き出しそうになった。
けど映画が終盤に向かうに連れ、なんだかんだでメインキャスト
の中でも1 2番目くらいに役にハマってるように見えたのは何故かしら。