「キッチュで切ないホテルの想い出」グランド・ブダペスト・ホテル 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
キッチュで切ないホテルの想い出
かれこれ半年前に観てものすごく気に入ってたのだが、
バタバタしてるうちにレビューを書き損ねていた作品。
アカデミー賞4部門受賞!のニュースで思い出した次第。
もはや細かいシーンは思い出せないが、作品の印象に
ついては鑑賞直後よりも冷静な見方ができますよね~
というもっともらしい言い訳をしてみる。
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まずもって、映像もテンポもまさしくウェス・アンダーソン節。
豪華キャストのゼータクな使い方。オフビートな笑い。
ポップアートのようにカラフルでイカれた配色。
(この点は従来作より強烈な色合いが多い気もする)
どんなに動的なシーンでも微動だにしない、ちょっと
キューブリック作品を彷彿とさせる生真面目な構図。
だが、美術の豪華さや語り口の凝り具合は、これまでの
アンダーソン監督作品で最大規模と言えるかも。
第二次世界大戦前のハンガリーが舞台ということで
異国情緒たっぷりの衣装の数々は見た目に楽しいし、
画角の違う映像にミニチュアにアニメに大きな舞台装置にと、
映像から小道具大道具に至るまで遊びに遊びまくっている。
最後には大がかりな銃撃戦まで用意されているが、
あんなヘンテコな銃撃戦を、僕は今まで観た事がない(笑)。
“キッチュ”という言葉をレビューに使おうと思って
改めて調べてみたが、正確な意味は『けばけばしさ、
古臭さ、安っぽさを積極的に利用し評価する美意識』
(毎度のWikipedia調べ)という意味のドイツ語だそうな。
これくらい本作にしっくりくる言葉もないと思う。
おもちゃ箱の中身を一度そこらじゅうにぶちまけて、
それらすべてを緻密な計算のもとに陳列し直し、せかせかと
エスコートされながらマシンガントークで紹介されるような、
そんなせわしなくも可笑しな雰囲気に満ちた作品。
(“おもちゃ箱” という表現を茶化すレビューもあるが、
ボキャブラ貧民の僕はやっぱおもちゃ箱で。)
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そしてこの、どこか切ない読後感。
僕の大好きな『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』は
崩壊した名門一家それぞれの孤独が胸を締め付けた。
前作『ムーンライズ・キングダム』も、今や取り戻せない
無垢な心に対するノスタルジーに溢れていた。
アンダーソン監督作品を観て僕がいつも感じるのは……
かつては確かに輝ける瞬間があったはずなのに、
今では誰からも記憶されず、ただ消えゆくばかりの存在、
そんな存在に対する憐れみや慈しみのようなもの。
主人公である支配人グスタフの最期に、思いがけず涙が溢れた。
プライドの高いプロフェッショナルなのに
どうにも間が抜けていて、心根の優しいあの男。
いつの間にか僕は彼にすっかり魅了されていて、
そんな彼があんな悲しい形で舞台から
退場してしまうことが、僕は心の底から悲しかった。
そして、その想い出と共にひっそりと生き続ける人の孤独もまた。
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『グランド・ブタペスト・ホテル』がアカデミー賞の4部門
(美術・衣装デザイン・メイクアップ&ヘアスタイリング・作曲)
を受賞したのは素直に嬉しいが、
作品賞・監督賞にまでノミネートされた事はサプライズだった。
だって、他のノミネート作品と比べても群を抜いてコミカルだし。
この物語が本当は悲惨な戦争を下敷きにした物語である
という点や、アメリカでの大ヒットが利いたのかしら。
ともあれおめでとう! 監督およびスタッフの皆様。
めちゃくちゃ楽しませていただきました。
<2014.07.18鑑賞>
お久しぶりです!ゴキです。
暖かいコメントを頂き涙ぐんでました。
こういう時こそのコメントに感謝しております。
自分とは違った評価・視点こそ面白いと、私は思うんですが、
巷はどうもそうでもないようで、排他的で同調圧力が強い感じがします。
ちょっと飛躍しますが、高崎山のシャーロット事件にしても、
当事者・関係者でもないのに、「忖度しろ!」(苦笑)
特に「インターステラー」の場合、不気味だなぁと思ったのは、
知的映画のアイコンと化して、理解出来ないのはバカだという、
レッテル貼られるのが嫌で、みんなで絶賛コメの嵐。
はい、私はバカなので、全く解せませんでした(苦笑)
まぁしかし今回の場合、閉口したのは、
「実際に見てないのに低評価するな!」という同じ内容のコメを、
過去のレビューにもコピペされまくって、削除するのが大変でした(汗)
さすがに悪質だったので、一応通報しておきましたが。
採点については、それこそ「食べログ」じゃないけど、
上下カットするなりして再評価すればいいのにね。
2.5って実は中央値なのに、凄く低い気がする人が
結構多いんじゃないでしょうか?
期待より低ければ、普通に2.5以下にしちゃっても、
特別ネガキャンしてる訳じゃないと思うんですがねぇ。
実際エンタメ系の映画には、3点以下しか採点しないと、
宣言しちゃってる人もいるくらいですから。
尖ったレビューを書いてる自覚はあるので(笑)、
今後もある程度は覚悟してますが、
知りもしないのに人格攻撃はやめて欲しいものです。
まったくハズレてるのでダメージないですが(苦笑)
さて、なぜここにコメさせてもらっているか?ですが、
またまたこんなモノを見つけてしまったものですから(苦笑)
www.youtube.com/watch?v=Nsi06PG7w_0
お蔭様で精神衛生的に救われました。
ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。