「マトリューシカ!」グランド・ブダペスト・ホテル ko_itiさんの映画レビュー(感想・評価)
マトリューシカ!
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印象は「贅を尽くした小粋な作品」
冒頭、少女が本を読み、著者の老人の語りから若き頃の著者が泊まったホテルのオーナーから回想を聞く段取りで、ドラマの構造がマトリューシカ(入れ子人形)になっている。しかも全編のカット枠とカット長のほとんどが同じ比で撮られている。この徹底さが最後に重要なものとしてわかる。
回想はスタンダードサイズになっておりサイレントの想わせる様な見せ方になっている。
グスタフが前半でラジオを聞きながら食事をする場面、ゼロの通行を阻む軍人に怒る列車の場面、そして後半のゼロが難民である事を知り謝罪する場面からグスタフがゼロと同じ境遇であるのが察せられる。
それを踏まえるとグスタフにとってホテルはひとつの“世界”だったのがじんわりとわかる。そしてそれはもう存在しない“過ぎさった世界”である事も。
作り手が映画をマトリューシカにしたのはこの寓話を普遍性のあるものとして語りたかったからだろう。
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