「優雅は最大の復讐」グランド・ブダペスト・ホテル 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
優雅は最大の復讐
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1930年代のヨーロッパ(の架空の国)が舞台。
主役のグスタヴは、いわれなき濡れ衣の罪で追いつめられてしまう。
それでも優雅でオシャレな姿勢は崩さない。
彼の優しさやポップな諸々(お菓子や粋な秘密結社)が、彼を救い敵と闘う武器となる。
戦争やら何やらの暗い影もヒシヒシと迫ってきている。
それでもホテルは、優雅で可愛らしくポップで美しい。
いつかは暗い影に呑み込まれてしまうのだろうが、それに歯向かうように、矜持を保つ。
この映画の優雅は、世界を覆う黒い影への反逆であり、復讐であり、唯一の武器だったのだと思う。
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この映画は、まことに楽しくポップであるが、残酷な側面もある。
グスタヴの死…「優雅の喪失」…「暴力的な時の流れに文化が敗北する」のも描いているからだ。
唯一救いがあるとすれば、グスタヴの心意気が、時を経て、ベルボーイから作家へ、さらには現代の読者へと、語り読み継がれていくのが描かれているところだろうか。例え時代に敗北する心意気だったとしても、アンダーソン監督はそれを引き継いでいきたいのだと思う。
そして彼はこれからも優雅を武器に映画を撮っていくのだろうと思う。
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