「魅せ方が秀逸」天才スピヴェット えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)
魅せ方が秀逸
『天才スピヴェット』を観賞。
「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ監督の最新作。
10歳にして天才科学者のT・S・スピヴェットは、家族には理解されないものの日々科学の実験と検証に夢中だったが、ある日弟が事故で命を落としてしまう。弟の死を避けるように家族がバラバラになっていく中、とある権威ある科学賞の受賞を知る。授章式でスピーチを行うために家族に無断で田舎町モンタナからワシントンDCまで一人旅に出た。
要は子供の家出冒険活劇であるので、かなりご都合主義な展開となっている。
また、今作は3D上映となっていて、アクションでもないのに何故?と思っていたが、所々小物関係や科学に関する説明などが立体的に行われるという、今までにない3Dの活用方法となっている。最近3D映画の勢いもなくなっているのでこのような新たな取り組みは大いに歓迎したい。
さて、映画としてはテンポ良く進んでいき、美しい映像効果も相まって退屈することなく観賞できる作品に仕上がっている。
所々で見られるユーモアセンスも良い。
科学に重点を置いているかに思われるが、実は亡くした弟と家族の絆の物語となっており、決して10歳の主人公が天才科学者であることを膨らませた内容になっていない。
予告編などからすると違和感と感じてしまうが、観終わってみれば実に暖かな気持ちになれる良作であった。
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