「母がよかった。」天才スピヴェット だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
母がよかった。
3Dで見たかったのですが、最寄の映画館では2Dのみ。3D設備のないミニシアターなので、仕方ありません。2Dで鑑賞しました。
映像がかわいいです。飛び出す絵本の章立て、犬のタピオカ、おびただしい数の虫の標本までもがキュートに見えて、眼福です。ただ空から草原を映しているだけでもかわいいのフィルターがかかったようです。
そしてT.Sのかわいいこと。天才だからか生意気で、科学賞を取ったとの連絡にはT.Sは父です、でも声が出ないので手話を僕が通訳します、なんて嘘をつきます。大学の学長のふりをして電話するシーンとか大好きです。
3Dだとこの部分が飛び出て見えるのだな、などど想像しながら見ました。ものが飛んでくる系の3Dは怖いので、これぐらいだったら楽しめたと思います。蛇はちょっと怖いかもですが。
回想とT.Sの想像と現実がちょこちょこ入れ替わるので、結構集中力が入りますね。お姉ちゃんの脳内の妄想面白かったです。
科学賞を取ったので、その受賞スピーチをしにモンタナ(だっけ?西の北の方)からワシントンへ一人向かうT.Sの大冒険が、痛快で切ないです。彼は10歳にして言いようのない孤独に苛まれています。孤独でありつつ、天才で生意気くん。その特徴を活かして貨物列車に忍び込み、追手を煙に巻き、時々知らない誰かにちょっとだけ助けられてワシントンにたどり着きます。
弟の死を自分のせいだと思っていて、苦しんでいたT.Sですが、ラストのテレビ出演時に母にその呪縛を解いてもらいます。この母とのやり取りはとてもよかったです。というかこの昆虫学者の母が私はとても気に入りました。いけ好かない女を張り倒し、話の腰を折りまくる司会者にも言い返す。かっこいい。お父さんといつも喧嘩しているけれども廊下の擦れ違い際にそっと手を握り合うのなんて、もう好みです。ヘレナ・ボナム・カーターはいいですね。
母は言います。「凡庸は心のカビよ!」と。激しく同意します!
父と姉もわるくないですけど、ヘレナ演じる母にはかないませんでした。ごめんね。
スミソニア(でしたっけ?一文字足りない気がする)の次長の女性はまあ、俗物でしたね。嫌な人は結構悪意たっぷりに描いていておかしかったです。嫌いなんでしょうね。
T.S役の彼の泣こうとするときの演技は若干わざとらしかったですが、それ以外はパーフェクトです。
またレンタルとかでみたいです。映像をBGM的に楽しみたい系統でした。