「あんな色のジュースは飲みたくないんだよ」サクラメント 死の楽園 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)
あんな色のジュースは飲みたくないんだよ
POV形式の映画作品の中でも群を抜いて映像疲れする。
カメラを置く→拾い上げられぐい~んと回って地面から空をえがいて写すようなカメラワークが多かったからか、酔って酷い頭痛が…。
頭痛は作品内容には無関係だが、それでも映像疲れが酷かったので評価が下がる。w
実在するカルト教団による集団自殺をモチーフなだけあって、ちょっぴりちぐはぐな教団の言い分、強引な被害妄想にリアリティーを感じた。
たった一晩の滞在明けに「外部から嘘や暴力を持ちこんだ」等と教団は言いだすけれど事実無根。
元々洗脳されずに家に帰りたいと思っていた信者達がその機会を掴もうと行動を起こした事の原因を押し付けられるという…。これがカルトなんだなあ、という恐怖感がじわじわと。
ドラッグ中毒の治療目的で教団に入り、世間に縛られない自給自活の土地でまっさらに生まれ変わったかのように見えたパトリックの妹。
でも暴動が起きたら途端に自分の兄を「シーッ、シーッ、急がなきゃ」と言いながらシアン化合物を注射し殺害後、自分がやったくせにショックを受け、焼身自殺とかもう完全に狂っている。事実、夜のパーティーでは完全にラリっていた。
1番この映画がノンフィクションである事を感じたのは、ラスト”お父様”がピストルを自分の口に当て自殺するシーン。
外の世界の醜さに嫌気がさして新天地『エデン教区』で新たな家族と生活を始めたのに、お前らのせいだ…と訴えるも、ずっと口にしていた「暴力から離れ」を守り、ジャーナリストには銃口を向ける事なく自殺に及ぶ。怒りにまかせた巻き沿いを食らうかと思った。
観て「面白かった」「良かった」という感想を持つ作品ではないけれど、カルトの恐ろしさ、信仰に飲み込まれて自己の意思が殆どなくなってしまったような人間の恐ろしさがぞくぞくと感じられる1本。