「極上のサスペンス的中学生日記」ソロモンの偽証 前篇・事件 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
極上のサスペンス的中学生日記
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原作が超長編だけに、前後編に纏めるのも相当な苦労だったろう。
正直、生徒たちが学校でイジメっ子少年を被告人にして裁判を開こうとする根拠がよく解らない。
例えば、学校側の対処について生徒たちが教師を相手取って校内訴訟を起こす…というのなら、まだ納得できたかもしれない。
イジメっ子少年に犯行の物的証拠も状況証拠もないのだから、公訴事実が曖昧だ。
でも、この物語は彼を被告人にしなければ成立しないのだから、ここはもう少し上手に理由付け出来なかったか。
ここでシラケてしまった人には、この映画は駄作と映るだろう。
参加者を募って役割分担を決めるあたりから、どこか文化祭的なノリすら感じられてしまうから。
ただ、そこを減点しても物語にグイグイ引き込むパワーがこの映画にはあった。
生徒役の子供たちの演技(演出)が「中学生日記」を彷彿させ、天才子役的なうまい演技ではないからこそ、リアルな中学生を印象づける。
何故か懐かしさのような印象を受けたのだが、そこが理由じゃないだろうか。
語りや説明台詞はあったが、圧倒的に映像で物語っていく迫力の演出。
交通事故のシーンはやり過ぎだが、アッブと引き、画面の加工処理、手ブレ、そして音楽と静寂の挿入。
いじめ暴行場面の視点の入替えは手法としては新しくはないが、同じ場面を繰り返しながら徐々に秘密に迫って行く効果的な演出だ。
裁判の準備が進んでいくところで前編は終わるが、ラストシーンの迫力は衝撃的ですらあった。
後編の予告がオマケで付いており、裁判で何人かが証言や主張を展開することが知らされる。
果たして、どうやって被告少年を法廷に出させたのか?
後編への期待は膨らむ。
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