「前半は駆け足だが後半は心躍る展開」ソロモンの偽証 前篇・事件 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)
前半は駆け足だが後半は心躍る展開
原作は3部構成となっており、文庫本でも6冊分あります。
これを、2部構成とは言え、4、5時間ほどにまとめるのは大変だと思います。
単純に、事柄だけ掻い摘んでいけば、もしかしたら収めることが出来るかもしれませんが、この作品の持っているテーマはもちろん、登場人物の感情を伝えることは不可能でしょう。
本作の前半においては、そうした省略による駆け足感が強いですが、その分、後半の裁判になってからは、非常に心躍る展開になります。
後半にかけて、中学生である主人公たちが自主的に自分たちの置かれた状況を脱しようとする姿が生き生きとし、純粋に美しく見えるのです。それと対照的となる大人たちの醜さとも相まって、見ている側としては主人公たちを応援したくなるのです。見ていて周囲の大人に対して怒りが沸いてくることもありますが、それは純粋に主人公たちに寄り添っているからに過ぎません。
前半の終了は若干の尻切れトンボ感が拭えませんが、後半を見てみたいと思えるほどの十分な面白さを持っていると思います。
後半は前半に比べて、より怒涛の展開になっていき、面白くなっていくはずです。期待大です。期待を込めて★4。
藤野涼子役の方は、役名をそのまま芸名にしたそうです。演技の方はちょっと未成熟と思いますが、存在感と惹かれるものを感じます。一言で言うと、華がある。まだまだ磨かれていない原石のようですが、期待できると思います。声質も女の子というより女性という感じで、低く力のある声で、僕は心地よい声だと思いました。また、大出役(不良の子)の俳優も相当いい味出しています。多分、出演している中学生の役の中で一番うまいんじゃないかと思いました。